As 02 「遭遇」
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結界内に突入すると、遠方の空を舞う桃色の光が見えた。それを火の玉のようなものが追っている。桃色の光は高町の魔力色であるため彼女だろう。彼女を追いかけている火の玉のようなものは、おそらく魔導師。火の玉のように見えるのはブーストの役割として火が噴射されているからだろう。
「なのは……」
心配そうに彼女の名前を呼ぶテスタロッサ。普段ならば励ましの言葉くらい言えたのだろうが、今日の俺にその余裕はなかった。胸に渦巻く不安が徐々に膨らんでいっているからだ。
高町が押されているから。彼女が負傷するから、といった不安もあるのだろう。だがそれより遥かに大きい何かが存在している。
それが何なのかは分からない。だが、あそこに行けば判明するはずだ。
そう思う一方で、あそこに行きたくないという気持ちも存在していた。あそこに行ってしまったら、何かが壊れそうな気配がしてならないからだ。
「ショウ、大丈夫?」
「何が?」
「何がって、顔色悪くなってきてるよ」
シュテルほどではないが、顔に感情が出る方ではなかったのだが……それだけ嫌な予感がしてるってことか。いや、それもあるが純粋に実戦への恐怖もあるだろう。
「君ほど実戦慣れしてないから。少し緊張してるだけだよ。だから今は……」
不意に口を閉じてしまったのは、テスタロッサが俺の手を掴んできたからだ。彼女の力強い瞳はまっすぐとこちらに向けられている。
「大丈夫。ショウは私が守ってみせるから」
簡単によく言えるものだ。俺は胸の内で思っても、口に出すことはできないだろう。誰かに守ると言えるほど、自分の力を過信していないから。
いや、この言い方だとテスタロッサが過信しているみたいになってしまうか。彼女にはきちんと力があるのだから、過信とは言えない。
「……ありがとう。少し気分が楽になったよ」
「そっか」
「だけど、今は俺よりも高町のことを優先するべきだ。君だって心配なんだろ? 先行してくれて構わないよ」
「でも……うん、分かった」
テスタロッサも遠目に見えた戦闘で高町が押されていると感じていたのだろう。一瞬迷った素振りを見せたが、すぐに首を縦に振った。
彼女のあとを追って移動を続けていると、ファラから高町の魔力反応の低下、レイジングハートからの応答がないこと、新たな魔力反応の出現と次々と報告が入る。
新たに現れた反応は3つ。ひとつは先行したテスタロッサの元に。もうふたつはアルフの元で感知されたらしい。
「マスター、どうする?」
「どうするも何も、俺が高町のところに行くしかないだろ」
近接戦闘を行っているのか、金色の光と紫の光が何度もぶつかり合っている。テスタロッサが戦闘を開始したのは間違いない。
魔導師の中でもテスタロッサは近
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