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久遠の神話
第八十五話 消える闇その五
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「あの構えは」
「そうか、そうするか」
「かわしてその瞬間にですね」
「攻撃を仕掛ける」
 そうするというのだ、だが。
 工藤は闘牛士、その戦い方からも言った。闘牛士の戦いとはどういったものかというと。
「闘牛士は何度も攻撃する」
「敵の攻撃をかわしつつ、ですね」
「そうする、しかしだ」
「今の戦いは一撃ですね」
「一撃で全てが決まる、そしてかわすこともだ」
 それもだった、見れば猪は巨大である。その大きさはというと。
 新幹線程だ、即ち線路に一杯だ。それを闘牛士の様に横にかわすことは質量的に無理であることは明らかだった。
 だからだ、工藤は言うのだ。
「無理だ」
「そうですね、これは」
「どうするつもりだ、あの人は」
「闘牛士の動きが出来ないのに」
「それがわからない」
 工藤は権藤と彼に迫る猪を見ながら言う。
「どうしてもな」
「そうですね、どうするつもりでしょうか」
「しかしあの人はな」
 背中から見える権藤、彼はというと。
「自信に満ちているな」
「オーラさえ見えますね」
「勝算がある」
 そのオーラを見ての言葉だ、工藤も高橋もそのオーラを見ていて言うのだ。
「ではどうして闘うか」
「それですね」
「それがわからない」
 工藤は声で首を傾げさせる、その言葉で。
「どうするつもりだ」
「もうすぐですけれど」
 猪はさらに接近してきている、そこに攻撃を仕掛けるにはもう時間がなかった。しかしまだ権藤に動きが見られない。
 猪はまさにその彼を吹き飛ばさんとしていた、その速さも衝撃も新幹線のそれをさらに凌駕しているものだった。
 だがその猪にだ、彼は。
 目をカッと見開いた、そして。
 闇の剣を何度も振るった、その速さは風を超えていた。
 風を超える速さで振るいそしてだった、正方形の闇の壁を幾つも出して。
 その壁を突き破っていく猪を見つつ屈んだ、そのうえで。
 彼は剣を横に、左から右に一閃させた。その闇の刃で。
 猪の両足、前の二本を断ち切った、それは両膝を綺麗に切っていた。
 猪はそれで前のめりに倒れる、その顔の眉間に。
 権藤は利き腕に持っている剣を出した、闇の力をこれまで以上に込めた剣は怪物の額を深々と貫いたのだった。
 それが決め手だった、猪はその身体の中から無数の闇の、黒い光を出して消え去った。その後には恐ろしいまでの量の金塊があった。
 その金塊を見ながらだ、権藤は己の後ろにいる女神達に問うた。
「これでいいな」
「はい、これで」
「貴方は勝ったわ」
 聡美と智子が答える。
「ですから後は」
「指輪を」
「その指輪は何処だ」
 権藤はここで振り向いた、そのうえで女神達に問うた。
「誰が持っている」
「私です」
 豊香が権藤に対して答え
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