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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
光があれば闇もある
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「のぉ、皆。儂らは影じゃ。この世界の光に付き添うただの影じゃ。じゃからといって、泣いて駄々をこねる子供に手を上げるというのも大人げのないものじゃろう?」
「「「「……………………………」」」」
黙りこくる闇に、更なる闇は語りかける。
「卿がこの世界の光というならば、儂は喜んで闇に沈もう。そして、この世界に棲まう蛆虫どもを狩らねばなるまい」
そして、ソレに苦しむ者達には、喜んで千の手を差し伸べよう。
闇が動く。
数十人規模の集団が、一斉に立ち上がったために生じた空気の流れだ。
「さぁ、《お灸》を据えに行こうとするかのぅ」
鋼鉄の魔城の深淵が、動き出す。
レンはアインクラッド第十一層のフィールドにいた。巨人か何かに踏み潰されたように激しく隆起する地形は、それなりに高い所に上らないと遠くを見通すことができない。おまけに、それらの岩の隙間から吹く風は、ちょっとした台風並みの風速と砂塵を持っているので、戦闘中によろめいたり眼が潰れる事に気をつけねばならないという、ある意味モンスターよりも自然が恐ろしい稀有なステージである。
基部フロアのため、かなり広いフィールドが据えられており、迷宮区に辿り着くまでに三週間を費やすという異例の層でもあった。ちなみに、迷宮区最上階に棲み着いていたフロアボス【Sphere The Martial Queen】は、気合を入れて挑んだ攻略組メンバー全員のHPをイエローに落とすことなくその儚い命を散らしたという。
そんな、ある意味では恐ろしいフィールドのど真ん中に、少年は立っていた。
周囲の空間は本格的な夜の帳を含み始め、周囲の空気は僅かに青紫色の色を滲ませる。どこで鳴いているのかは皆目見当がつかないが、正体不明の虫達のさざめきが優しく耳朶を打ってBGMを醸し出す。気を抜くと、一瞬ここが市街区のド真ん中とでも錯覚してしまいそうだった。
「……………………」
紅衣の少年は、黙って空を見上げる。
そこには次層――――十二層の底蓋が重く封をしているだけなのではあるが、それでも構わずに《冥王》と呼ばれる少年はそこにない天空の青空を視た。
しばし辺りに美しい静寂の刻が静かに、しかし荘厳に奏でられる。
だが――――
「――――ぇッ……ゅ…かァッ。………ぶゅぶ」
それらは醜く、汚らわしい不協和音によって遮られた。
少年は能面のようにのっぺりとした顔を、己の足元に向けた。
そこには、奇妙なモノが地面に張り付いていた。
一メートルほどの歪な球体で、片方の先には直径三十センチくらいの球体がへばり付いている。その本体と思しきものには、ボロ雑巾のような布キレが被さっており、ソレ自体が時折もぞもぞと蠢
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