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王道を走れば:幻想にて
第五章、その2の4:弔い
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 生者の祈りがあたかも新たな火種となったかのように、投じられた白い粉を飲みこんで炎はさらに強いものとなった。薪全体にまで火が移り、剣の影らしきものが光の中でゆらめていた。
 ステンドグラスを通して薪の光が溢れる。夜警の任につく衛兵の松明に比べてもそれは大きなものであった。河面を跳ねる水魚のように。雲間から覗くはしごのような天の光のように。それは王都の一角からふわりと放たれ、神秘的に夜闇を彩っていた。
 宮廷の屋上にある庭園から、コーデリアはその光を見詰めていた。春の夜風にガウンが揺れて、『弔炎』のような淡い水色の髪が靡いている。

「早く帰ってこい、馬鹿」

 言葉は風に乗って、すぐに消えて行った。彼女は弔いの光が消えるまでそこに残り、寂寥を慰めんばかりに教会を見詰め続けていた。
 王都の夜は静かに更けて、宮廷は厳かに目を醒ました。宮廷に繋がるすべての道に半旗が掲げられ、死者を弔うに相応しき威厳のある葬儀が執り行われた。そしてその日の終わり、宮廷から沈黙の蒼の光が溢れるのを横目に、騎士アリッサは王都を発ち西へと向かった。


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