第百話 運命
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
相違点なんだよ。名称はAce Artificial Intelligence System――――まあ、ALICEと名付けても良かったんだけど、アレとはまた別物だからね……』
ゲルググに搭載されたAI――――彼はそれを脳と直結させていた。システムによる補助。それらの処理能力はクラウの本来の力を大幅に上回り、反射速度を人間の限界まで引き上げ、思考回路を効率化させる。ある種、機械による人の限界を超えた融合とも言えた。
『脳と直結させることで機体にズレが生まれることが無い。これが俺の切札だ』
今のクラウ・ハーケンは機体の操縦という面に限定して見れば、敵う事の出来る人間は存在していないと言っても過言ではなかった。
「そんな手段を使って……」
シンはクラウの機械との接続を行う事によって実力を底上げさせたという事を聞いて驚愕する。常軌を逸していると。そんな危険な真似をしてまで戦う理由があるのかとも。
『生憎と俺は機械論を否定する気もないからね……機械との接続に躊躇いなんてものはないさ』
転生者が何を言っているのか、などと思うかもしれないが、彼は転生者だからこそ機械論を信奉している部分がある。現代の宗教と同じだ。神の存在を社会が否定したからといって、そして本人が信じていないからといって祈りを止めたりする人は思った以上に少ない。
実際に機械論を否定するような転生の体験や神という存在に出会った事を理由に、彼が機械論否定をする気などなかった(だからといって機械論肯定を証明しようと躍起になる事もないが)。
『シンパシーは抱かなくて結構。自分でも異端だとは重々承知している。でも、これが俺のやり方なんでね――――』
無駄話はこれまでだとばかりに攻撃を再開する。各々が別方向に散開して狙いを定めさせないように動いていくが、そんな逃げは無意味とばかりに攻撃が続いていく。
『速いッ!?』
AI自体の操作補助も厄介だが、本当に厄介なのはAIとクラウ自身が繋がっているという事実だ。人間の反射神経は0.1秒が限界であり、その上で機体の動作を打ち込んだりする事からMSは完全に人間の要求する動きを真似することが出来ない(例外は刀を使う動きに特化させたレッドフレームのOSなどだろうが、それすらもあくまで刀に関係する動作に限定されている上に望み通りの動きとしてトレースしているわけではない)。
『ただ速いんじゃない。早いのさ!』
だが、クラウは機体のAIが脳神経と直接つながっている事によって操縦機能のタイムラグを極端に減らし、操縦桿やタイピングなどでは表現しきる事の出来ない動きまで再現させることが出来る。
例えるのであれば、人形を動かすのに、上から糸を垂らして動かすのと、直接人形が動くといった差だ。どちらがより繊
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ