第百話 運命
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対照的な二人の声色。共に正面に相対する。
「クラウ!」
『言っただろう、シン。お前が守りたいものを選べと。舞台の主役でも世界は全部救えるほど優しくは無いとも。だからこそ、この現状はお前の選んだ道だ』
そして今、シン・アスカとクラウ・ハーケンはお互いに対峙した。
――――第百話 運命――――
デスティニー、ストライクフリーダム、インパルス、ゲルググJG型――――ほかにも多数の機体に囲まれ、一対多の状況に追い込まれているにもかかわらず、彼にあるのは余裕。
連携が出来ていないとはいえ複数機による攻撃を躱し、それどころか狙いすましたかのように反撃する。並々ならぬ実力だ。故に違和感が生まれる。
『いくらシステムによって僕らの動きを読んでいると言っても、その動きは一体!』
クラウのみせる動きに、そして違和感に疑念を抱き、言葉にしたのはこれまで戦闘を行ってきたキラだった。
これまでキラとの戦いでリゲルグやゲルググシュトゥッツァーに乗って苦戦させられてきた彼が、ここにきて余裕を見せるようになったのはどう考えてもおかしい。敵として戦った回数が最も多いからこそ彼は最初にその疑問に辿り着いた。
『名前――――』
「え?」
その答えの一端を、まるでふと思い出したかのように呟いたクラウの言葉に、シン達は呆気にとられる。
『この機体の名前は仮称だけどZGMF‐14?(AA)って名付けたんだよ。この?(AA)って何を意味してるか知ってる?』
知るはずもない。クラウの乗るゲルググがどんな機体なのかも知らない彼らがそんな事を知っている筈もないし、そもそもこの機体の名前自体、付けた彼以外に意味は分かりはしない。
『まあ、オングストロームだとかスウェーデン語の象徴だとか色々意味自体は存在しているんだけど端的に言えばAが二つあるっていうだけの話なんだよ。それでこの?(AA)のそれぞれのAにも意味があってね――――』
その瞬間、回避を優先していたクラウが急に反転してライフルでムラサメを撃ち抜いた。その瞬間を狙いキラが撃ち、シンが回り込み、ルナマリアとショーンが斬りかかる。だが、まるで彼は完璧に調整された機械のように機体の傾ける角度や移動する距離を調整して躱し切った。
『これも色々と悩んだんだけどね。ATOMICだとか、新たな技術として始まりを表すαだとかね。でも、最終的に選んだのこの二つ――――シンプルに片方はACE、もう片方はAIだ』
彼がここまで圧倒的な実力を見せた理由。それは機体のエンジンである核融合炉を中心としたハード面での性能もあるが、OS等によるソフト面も大いに関わっていた。
『結局、俺自身に才能なんてものが一欠けらもないなら、それを他所で補うのが技術者とパイロットの
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