第百話 運命
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『ステラが乗ってるんだとしたら……落とさせるわけにはいかないだろ!』
『ネオ!』
今度こそはっきりと聞こえた。一体何なんだと思いつつもこのテレパシーのような声を信じてネオはミネルバを守るために盾となる。
「そんな機体で!」
シールドを構え、ミネルバをゲルググのビームから守るが高出力のビームに機体の節々が溶かされていく。その感覚に何故か強い既知感を感じる。
『だけどよぉ――――んなこたぁ、関係ねえ!!』
既知感を感じたからなんだ。自身とムウという訳の分からない人物との関係が一体何だという。
『俺は、これ以上失わせたりしない!』
リ・ガズィのシールドが限界を迎え、左腕ごと抉られ、吹き飛ばされる。
『全く、大人はそんな役割ばっかで辛いね。おいしい所は全部持って行かれちまう』
今度こそミネルバに止めを刺そうとビームライフルを構えた瞬間、上方から一筋の光が現れた。
◇
シンがこの場所に戻ってきたのは必然であり、このタイミングで戻ってきたのは偶然だった。シンが戦場で果たしていた役割は遊撃である。その影響は戦術規模としては愚か、戦略規模として捉えられるほど多大な影響を与えられていた。
彼が戦場を荒らしまわったおかげで戦況が変わってしまい、メサイアのインターバルを誤魔化していたのを露呈せざる得なくなったのだ。十分すぎる戦果を出したと言っていい。
しかし、最前線で八面六臂の活躍をしていたとはいえ、彼も機体も永遠に戦い続けれるわけではない。レイとの戦闘や艦隊戦、多方向への対応と長期の緊張状態を強いられたシンもデスティニーも流石に疲弊していた。
だが、シンの休息自体はどの艦でも出来るが、デスティニーの補給が出来る場所は限られている。結果、彼は補給を確実に行える場所として帰投場所にミネルバを選んだ。
「止めろォォォ――――!!」
故に、彼がここに戻ってきたのは必然。ミネルバを狙っていた機体の動きをビームで止めたのはシンにとって当然の事。黒いゲルググが盾となって守っていた一機のMSを吹き飛ばしミネルバを撃ち抜こうとしていた。シンはそれを止めるためにデスティニーのビームライフルとフラッシュエッジ2を放ったのだ。
彼がこのタイミングに戻ってきたのは本当にただの偶然だった。もしあと一分、いや数秒でも遅れていればミネルバは落とされていたかもしれなかった。
『やっぱり来たか……』
ゲルググのパイロットは嘆くかのように呟きつつも、その声には感情らしき感情は籠っていない。上っ面だけの悲観の嘆きだ。
「結局こうなっちまうのかよ……」
一方で、シンの嘆きは溢れ出んばかりの悲しみの感情が存在していた。だが、戦う事を決意した彼の表情に目に見える嘆きはない。
まるで
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