第百話 運命
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打ちを読まれたのか。何を隠そう(別にこれまでも隠してはいなかったが)オーブに存在する可変機の根本的構造を造り上げてきたのは、データだけに限られているとはいえ彼だからである。リ・ガズィやリゼルといった機体の可変構造をデータ上に残し、ムラサメの基盤となる可変構造の基となったのも総て彼のデータによるものだ。
『クソッ、あぶねぇ……』
「避けられたか――――いや、やはり意図したものじゃないな」
クラウは腕ごと切り裂くつもりだったのだが、躱されてしまいビームサーベルを破壊するに止まる。どうやら扱いきれていない機体の変則性にまたもネオは救われたようだ。
「……慣れるまで厄介だな。なら、母艦から落とすか?」
ストライクフリーダムは動きが読めるとはいえ、一朝一夕に落とせる相手ではない。インパルスは腕を裂いたが、元々あの機体は多少やられてもすぐにリカバリー出来るのが特徴な為、同じく時間が掛かるだろう。
だからといって、雑魚ばかりを屠っても意味がない。なら彼らにとって生命線である母艦を落とす。間違った判断ではないし、母艦に攻撃を仕掛ければ嫌でも彼らはこちらを注視し続けなくてはならない。
『船を落とそうっていうのか!させない!!』
キラが真っ先に止めようと動くが、適当に近くにいたMSを投げつけ盾にする。直線状に味方のMSが居てはいかにキラであっても攻撃は出来ない。その隙を狙ってミネルバにビームを放とうと構える。艦橋は内部にある為、一発で機能停止に追い込むのは難しいだろうが、ゲルググの火力であれば数発撃てば落とせるだろうと判断し、ビームを放った。
『アンチビーム爆雷発射!ミネルバを援護して!』
マリューが咄嗟の判断でアンチビーム爆雷を放つ。ビームの威力がそれによって減衰し、ミネルバは何とか致命傷を避けられた。
しかし、ミネルバにダメージが無かったわけではない。撃たれたことによって一部の機能が停止し、艦が揺れる。それによって艦にいた一人の少女が不安を抱く。
『シン……ネオ……怖いよ……』
捕虜という名目上の立場としてミネルバに軟禁されていたステラだ。シンの監督下に置かれるという条件でミネルバに居続けた彼女だが、ザフト内で紆余曲折あったせいで部屋に一人で居続けていたのだ。戦闘という事もあって外の様子も分からない彼女は不安を抱き、膝を抱えながら自分にとって大切な人である二人の名前を呟く。
『……ステラ?まさかあの船に?』
通信が繋がっているというわけでもないのに、何故かその呟きが聞こえたネオはまさかと思いつつもミネルバに注目せざる得ない。
死んでいたとばかり思っていたのだが、いや幻聴かもしれない、しかしそんな風にはとても思えない――――そんな埒が明かない思考の渦に嵌りつつもネオは本能的に機体を動かした。
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