暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外6話『航路にて』
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口に出しそうだったけど、わざわざ言うのもやっぱり嫌なので心の中で留めておくことにした。




 そっと足音を忍ばせて、ナミの船室に入る階段扉の前に立つ。

「……」

 声は聞こえない。
 夜だし、もう寝ているんだろう。

 ……いや、断じて盗み聞きとかそういう趣向なのではなくて。そりゃ音だけ聞こえてくるとかいうシチュエーチョンは興奮するけど……いやいやいや断じてそういうわけではなく、単純に今は夜中だからノックとかして起こしたら申し訳ないという気持ちがあって起きてるかどうかを確認するためにであって、ほらもしかしたら寝汗書いて着替えの最中だったりとかしていきなり扉を開けてしまってラッキー的な、普通は気付くから、絶対わざとだろそれ、的な突っ込みが聞こえてきそうな状況にならないために必要な行為であって――

「――なんで俺必死に言い訳考えてんだ」

 ナミが大変な時なのにバカな考えが浮かぶ自分に心底ウンザリしつつもナミやビビを起こさないように静かに階段扉を開ける。夜中だし、音もしないから多分ナミは寝てると思う。だからノックはしない。

「……」

 開けた扉の中、階段を下りた先にあった光景は自分の予想よりと少し違っていて、驚いた。
 死屍累々といびきをかいている死体の山。

 ルフィも、ウソップもカル―もゾロも、もちろんビビも。みんながこの部屋で雑魚寝している。いくらナミの部屋がメリー号の中で最も大きな部屋とはいえ、こんなにたくさんの人数が寝れるような部屋ではない。

 ビビはナミのベッドに突っ伏して寝ているし、カルーとゾロも折り重なっている。ウソップは机にもたれかかったままだし、ルフィも足を机に放りだしているような状況だ。寝て起きたら体の節々が痛くなっているだろうし、そもそもこんな窮屈な姿勢で寝ても十分な睡眠感は得られない。

 それでもこうしてナミの部屋に集まっている姿を見れば、どれだけみんながナミを心配しているのかがこれだけでもわかる。

「……はは」

 嬉しくなって自然と洩れてしまった自分の笑い声に慌てて口をつぐみ、みんなの隙間を縫うようにしてナミのベッドへと近づく。さすがに野郎どもと違ってビビやナミの寝息は品がある。そもそも寝息に品とかあるのか、と聞かれたらこっちも首をかしげたくなるけど、でもまぁそう感じたんだから仕方ない。

「……寝言は……さすがに言ってないか」

 サンジも『たまに』と言っていたから、当然といえば当然だ。
 無意識化で『先約なる人物』の名前ではなく、俺の名前を呼んでくれる、というのは実に嬉しい。それだけ深くつながっている家族と思われてるんだろう。

 ……考え込むと泣きたくなるからやめておこう。
 首を振ってナミを見つめる。

「しっかし……辛そう
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