第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
三十三話 読心の瞳
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が彼女を苛んでいた。
大切な妹達の行方が分からず、そもそも彼女達が他者から狙われやすい存在であった事を失念していた自分の浅はかさが憎くて堪らない。言い付けを守らなかった妹達より、彼女達を攫った輩より、自分自身が一番許せず二人を探す当ても無く、怒りをぶつける相手も無く、ただ虚しく苛立ちを周囲に放ちながらその場所に佇むしかなかった。
そんな彼女の背後に何者かが降り立った。今の彼女にすれば八つ当たりの獲物にしか見えなかっただろう、美しくも獰猛な笑顔を浮かべながらゆっくりと背後を振り向いた。
そこにいたのは身長が二メートルを超え、両こめかみ辺りから十五センチ程の角を生やし、腰まである群青色の髪、肩を露出している赤黒い道着に朱色の袴を着た鬼だった。
「お前が風見 幽香(かざみ ゆうか)だな?そういきり立つな俺はお前の味方だ」
「味方ですって?」
いきなりそう言い放つ鬼に彼女は胡散臭げな視線を向けるが、次に鬼が言った言葉に激しく反応してしまう。
「そう味方だ、お前の妹達の行方を知らせに来た。名乗るのが遅れたな、俺の名は百鬼丸、しがない鬼だ」
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