第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
三十三話 読心の瞳
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思ってもいなかったのだろう。
まぁ彼等の計画は僕が此処にいる時点で破綻しているんだけどね。神奈子なら浅慮で動く事もないだろうしまだ行動には移していないと思う。
「ふ〜んそうなんだ。偶然って恐いね。まぁいいや、とりあえず最後の質問ね、綺羅の娘は何処にいるんだい?」
僕が笑顔で刀を首に這わせながらそう聞くと、
「こ、この砦に居るんだな!に、二階の奥のへ、部屋に閉じ込めてい、いるんだな!ほ、本当なんだな!」
男はそう叫び、僕は確認の為にさとりの方に視線を向けると「…本当のようです」と答えてくれた。それを確認すると僕は男に「ありがとね」と声をかけ、額に指を当て術を使って昏倒させた。
「お姉ちゃんすぐに戻らないと!」
「ええ!でも七枷神社の神に幽香姉さんが危険な妖怪じゃない、と説明して納得してくれるかしら?」
「分からないけど、とりあえず私達が無事な事を伝えないと幽香お姉ちゃんが危ないよ!」
さとりとこいしがそんな風に騒ぎ出したのでとりあえず落ち着かせる事にした。
「二人とも大丈夫だよ、七枷神社はまだ討伐には動いてないから」
「どうしてそんな事が分かるの……えっ!あなたが七枷神社の祭神!」
僕の心を読んだのだろう、そんな風にさとりが驚いていた。
「そういう事、だから焦らなくてもいいから。じゃぁとりあえず綺羅の娘さんを救出してこの砦から出ようか」
「ありがとうございます!この御恩はきっと返させて頂きます!」
そう言って頭を下げてくる綺羅に「気にする事ないよ」と言いながら僕は階段の方へと歩を進める。まず綺羅の娘を救出、次に古明地姉妹を姉の元に送り、柳杉屋と云う所を処罰する。そんな手順を考えながらこの騒動は意外と楽に決着するな、とこの時は思っていた。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
並みの人間では踏み込めない森の奥に黄金が広がっている。大地を黄金色に染め上げているのは日輪草の別名を持つ太陽の様な形をした花、向日葵。
空に輝く本物の太陽にも負けない明るさを放っているのではないかと思えるほどのその黄金の中に人影が一つ、その人物は周りの輝きを消し去ってしまうほどの暗さを放っていた。
癖のある緑の髪に真紅の瞳、只一言美しいとしか形容出来ないほどの容姿を持ち、首に黄色のリボンを結んだ白のカッターシャツの上からチェック柄のベストを羽織り、チェック柄の赤のロングスカートを身に着けている。その手には折りたたまれた白い日傘が握られていた。
彼女から立ち昇るのは尋常ではない殺気、ただそれは周囲というよりは彼女自身に向けられたものであり自身への不甲斐無さ、後悔、苛立ち、様々な感情
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