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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
無言静寂
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)の隅に設置されている所持金額をタップした。浮かび上がるトレードウインドウに五万の数字をきっちり入力しようとし、少し考えた後に五千コルをプラスした。特に深い理由はない。ただのチップのつもりだ。
しかしそのトレード画面を見たアルゴはフンと一度だけ鼻を鳴らし
「儲かってるナ。まァありがたく頂戴しとくカ」
そう前置きをし、こちらも注文していた黒エールを一気飲みした。かなり大振りのジョッキをダガン!!というテーブルを叩き割らんばかりの効果音とともに置き、言葉を紡ぎ始めた。
「……確認されてるだけでも、この一週間で十二人の犠牲者がいるヨ。襲われた奴なんて、その倍以上もあるかもナ」
「十二人………」
多いな、と思わず呟いたレンに、アルゴは金褐色の前髪の奥から胡乱な視線を向けた。
「お前、自分が殺った人数も数えてないのカ?」
「……………………」
黙り込む少年をしばらく睨みつけていた少女は、やがて折れたように大きなため息を乱暴につき、金褐色の巻き毛が特徴的な髪をぐしゃぐしゃと掻き回した。
「まぁいい。とにかく、ここ最近の奴らのハッスルぶりにはちょっと目を見張るモンがあるって訳ダ。単純計算でも、一日に一人か二人だからナ〜」
言った後、アルゴは店の奥に「おかわり!」と怒鳴る。それに阿吽の呼吸のように合致した店主の返事を聞きながら、レンは更に脳を回転させる。
しかし、いくら考えても殺人者の思考など分かるはずもない。
自分は殺人者ではなく、殺人者を殺す殺人《鬼》なのだから。《鬼》なのだから。
はぁ、とため息をつく。
殺すか。
たったそれだけの思考で、たったそれだけの単純な思考で、《冥王》――――《冥界の覇王》と呼ばれる少年の、今後の行動目標が定まった。
「それにしても、よく教えてくれる気になったね。いっつも、『人様にメーワク掛かるような情報は売ってやらン』とか言ってたのに」
レンの問いに《鼠》と呼ばれる少女は、早速出された黒エールをぐびりと飲んだ後に口を開いた。
「…………別に、オイラの気が変わったってだけサ」
「……そ」
簡素な返事だけ返して、レンもグラスを煽った。いつもならするりとノドに入っていくエールビールはやけに苦く、やはりコークワイン辺りにしとけば良かった、と少年は舌打ちした。
一気にグラスを傾け、残っていた液体をカラにすると、レンは椅子を引いて席を立った。
「行くのカ?」
「うん。ありがと、アルゴねーちゃん」
「……………………………」
店主に支払いを済ませる直前、こんなときによぶなばか、というような声が聞こえた気がするがたぶん気のせいだろう。
髭面の店主に、テーブルに突っ伏したまま動かないアルゴの分まで支払
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