暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
無言静寂
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、整備された石畳の上に軟着陸する。同時に、これまで聞いていた【デラクール】のBGMが減衰しながら消え、新たなBGMと人々の喧騒が鼓膜を震わせた。

その中で《鼠》の名を冠される少女は、転移門前通りに面していた酒場のドアを開けた。

「らっしゃい!」と声を掛けてくるNPC店主以外は、さすが第一級の情報屋が選んだというべきか、見事に誰もいなかった。やべぇ客がキタコレ、と狩人の眼を輝かせる店主に適当な注文を出して追っ払い、奥の方に据えられているテーブルに着く。

「んで、何にも聞かずにココまで連れて来られた訳だけど、いい加減に教えてよ」

「………まず始めに言っとくケド、この情報に料金は不要ダ」

物憂げに頬杖を付くレンに、アルゴはそんなことを言った。

「なんで?」

「あんまりにもアバウトなモンだからナ。こんなんで料金取ったなんて広まったら、こっちが損しちまうヨ」

どことなく遠まわしに、果てしなく婉曲的に否定されたが、しかしレンはふぅ〜んと気のない返事を返した。

恐らく、この情報屋の頭の中では自分には考え付かないほどの計算や打算、企みが渦を巻いているのであろうが、それをレンは理解しようとも思わないし、注意を向けたくもない。そこにレンホウという自分か、《冥王》と呼ばれる自分が組み込まれているのは確実だろうが、それでも少年は興味が湧かなかった。

「…………ま、無料(タダ)より安いモンはないからね。そう言うんだったら、お言葉に甘えさせてもらおうかな」

「ン、じゃあ言うゾ」

と、アルゴは改まったように座り直し、組んだ手の甲の上にあごを乗せ、鋭い眼光を向けてきた。

しばし、もったいぶるような余白の後、《鼠》という二つ名を持つ少女は口を開いた。

「《狂った幸運(ドラッグ・ラック)》が騒がしい」

「………ッ」

眼が少しだけ見開くのを、レンは止めることができなかった。

それを無理やり抑えるために、ひとまず一回だけ深呼吸をし、卓上にいつの間にか置かれていたエールビールを飲んで唇を湿らせる。

「騒がしいって……、アイツ等がヒャッハーしてるなんていつもの事じゃん」

「ここら辺のアイツ等は特に活発的になってきてる気がするんダヨ」

「へぇ、具体的には?」

ようやく頬杖を解いて顔を上げたレンを見返すアルゴの顔は、情報屋特有の得意げでふてぶてしい笑みが浮かんでいた。

「それは別料金だヨ。五万コル」

「はいはい」

苦笑とともに、レンは右手の人差し指を真っ直ぐに伸ばして真下に振るった。鈴の音のようなサウンドエフェクトとともに出現したのは紫色のウインドウ。プレイヤーそれぞれに割り振られているシステム的メニューウインドウである。

その中の、アイテム欄(ストレージ
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