プロローグその6:運命との出会い(後編)なんじゃね?
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な事象に対して反応を遅らせる。
疲労が蓄積していたのならなおの事だ。
ユーノは聡明な頭脳でもって彼の戦いをそう分析していた。
だが、そんな彼ですら勝利を目前としたこの戦いの結末を予測する事は出来なかったのである。
「ソーイチ!」
ユーノは彼の名を叫んだ。
その声色は絶望でも無く、ましてや悲哀でも無い。
勝利を確信した驚喜に満ち満ちている。
ユーノは何より「なのはを落とした分まできっちり返してくれる事」を切に願い、彼の放つ最後の一撃に期待した。
…したのだが、その一撃は繰り出される事は無かった。
彼は知らない。
日野槍一がこの瞬間思っていた事を。
粗暴な言動が目立つ友人は実は女性に手を上げる事を良しとしない人物である事を。
またそれを今頃になって思い出してしまった大馬鹿者である事を……。
だが、この時ソーイチの右手はアイアン・ウィルのグリップから離れ「見る者によっては扇情的とも言えるデザインのバリアジャケットに身を包んだ魔導師の少女」に向かっていた。
電光石火の如く押し合い圧し合いを繰り返しているソーイチの頭脳はそんな事などすっかり忘れている。
だが、運動エネルギーという物理的な法則は冷酷にも主の意思から切離されても尚直進を続けていた。
「フェ…フェイトォォォ!!!」
使い魔の悲痛な叫びが辺りに響く。
だが咄嗟の出来事に身体の動かない魔導師の少女は己に向かう少年の掌に恐怖し、咄嗟に目を瞑った。
…………そして悲劇が訪れた。
「あ!」
最初に口を開いたのはユーノ・スクライアだった。
その表情は何処か間の抜けたものであり、ポカンと開かれた口から発せられている。
「ぁぁッ!!」
次に口を開いたのは日野槍一。
その顔は驚きと「やってしまった」という絶望感を組み合わせたもので、閉まる喉から搾り出すように声を漏らしている。
「なっ!?」
三番目に声を出したのは魔導師の使い魔だった。
橙色の長い頭髪が目に付く年上の女性の姿に変化している使い魔は大口を開けて主である魔導師と槍一の姿を見つめている。
「……ふえ?」
最後に可愛らしくそう呟いたのは魔導師の少女。
彼女は一向に来る事の無い衝撃を不思議に思って恐る恐る目を開いた。
そして視界に入ったのは、「驚愕」と「絶望」と「気まずさ」とを組み合わせ尚且つ耳まで紅潮させている少年の顔。
その瞳は少女のある所に向けられている。
「何だろう」と思って少女が視線の先に顔を下ろし…………。
そして時が止まった。
槍一が伸ばした腕は少女に触れていた。
確かに触れていた。
心臓に最も近
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