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戦国†恋姫〜黒衣の人間宿神〜
六章
二条館
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うだ。

「しかし、あまりにも気配がないから住んでるとは思えないが・・・・」

「そうですね。仮にも侍の棟梁の方が、防御力が皆無となっているこの城館に住んでるとは思いませんが・・・・」

「いえいえ。間違いなく住んでおりますよ」

ん?いつの間にか俺の後ろに立っていた女性がいた。ふむ、こいつはあれか?将軍の側近だと思う。

「ふむふむ・・・・小名風を装った方が一名、その護衛らしき方が四名、異人さんが一名、ですか。・・・・珍しい組み合わせですなぁ。それで?将軍に拝謁に来られたのですかな?」

「そうだ」

「手土産は?」

「ある」

「これはこれは!ようこそいらっしゃいました!さぁさぁご遠慮なくお入り下さいませ。ああ、それと手土産などのお荷物は、不肖この私がお預かり致しますのでご安心めされ。ささっ、お荷物を!」

ニコニコと笑顔を浮かべたこの少女が、表情とは裏腹に、両手をクレクレと前に出す。

「ちょ、ちょっとちょっと!困りますよ」

「そうです!突然現れて、何をいきなり失礼な!」

「我らが主に無礼でしょう。お下がりください」

「おお!これは大変失礼をば致しました。名乗りもせずに手土産をくれというのは、さすがに失礼でございましたな。しかしご安心召され!我が名は細川与一郎藤孝。通称は幽。足利将軍義輝様のお側衆を務めております」

と名乗りを上げた少女は一礼をした。そうか、こいつが史実で言うなら細川藤孝か。

「と名乗った所で、さぁさぁ、早速お持ちになった手土産をそれがしに・・・・」

ニコニコと笑顔を浮かべたこの少女が、表情とは裏腹に、また両手をクレクレと前に出す。

「・・・・一真、渡してやれ」

呆れた顔の久遠の指示で、俺はまず予め渡されたメモを取り出した。

「これは目録だ、これを見た後に実物を渡す。それでいいかな?」

「はいはい。現物をしかと頂けるのでございましたら、全く問題ございません」

「では、尾張国長田庄住人、長田三郎より足利将軍家へのご進物目録。銅銭三千貫、鎧一領、刀剣三振り、絹百疋です」

「銅銭三千貫!これはこれは誠に剛殻であらせられる!いやぁさすが尾張と美濃に跨がる家のご当主であらせられますなぁ!」

「では、目録はこれを渡して実物を渡そうが、どこに置いたらいい?」

「謹んで頂戴仕かる。実物はあとで構いませんので、お客様方を、二条館の客殿に案内仕りましょう」

と言って、幽と名乗った少女に先導されて、俺達はあちこち破損している城門を抜けて二条館の一室に通された。そして、土産の実物を空間から出してからお手伝いさんが持っていった。
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