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Cross Ballade
第3部:学祭2日目
最終話『交差譚詩曲(クロスバラード)』
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確実に荒れ地にならない?」
「まあね。お互いかめはめ波とゴムゴムのバズーカの撃ち合いだったからねえ……」

 長々と話すさわ子と泰介の話を、皆は聞いていない。
「あははは……」
「澤さわカップル、見事成立か……」
苦笑する世界と律に対し、
「き……清浦……幻覚剤、ない……? 一年分、いや、二年分……」
「中野、ないない。」
震える声で言う梓、飄々と答える刹那。
続いて向こうで「お゛お゛お゛お゛……!!」という光の唸り声が響いた。


 秋風はやみ、さわやかな青空が浮かんでいる時。
 唯と澪、誠と言葉は、榊野ヒルズの中央広場で落ち合った。
 その場所では噴水がわき、アベックがところどころでたむろしている。
「マコちゃーん!」
「唯ちゃん!」
 一目見るなり、唯と誠は朗らかな声を上げ、お互いに笑顔を返した。
「マコちゃん、借りたい本があるなんてびっくりしたよー!!」
 左薬指の指輪をちらつかせながら話す唯に、
「なーに、手塚治虫の漫画だよ。びっくりすることなんてないよ」
 誠は、唯に似た微笑を浮かべて答えた。
 恋愛が実らぬ形で終わっても、気兼ねなく話ができることに、2人とも驚きながら話を続ける。
 学祭以来続いていた誠の足の痛みも、いつの間にか治っていた。
 隣の澪は、微笑を浮かべているが、目の下にクマができ、ちょっと元気がない。
 かたや言葉は、誠の右腕に抱きついている。彼が自分のところに戻り、すっかり明るくなったようだ。

「言葉ぁ……」
「澪さん、どうしたんですか?」
「お礼のプレゼント、高級ショコラはありがたいんだけど……『四丁目の夕日』はやめてくれない? 私、ホラー映画は苦手なんだよ……」
 言葉はあわてて、
「あ、ごめんなさい! でも四丁目の夕日はホラーよりも人情系の側面が強い映画だし……」
「あのさ、言葉……」誠は半分呆れる。ホラー映画なんてちょっと女の子が好みそうなものではない。「ジャンプ系の漫画とかじゃ駄目なの? 俺達の学校では流行ってるだろ?」
「あ、じゃあ『銀魂』があります!!」
「銀魂!?」唯はパッと目を輝かせ、「私も『銀魂』好きなんだ。気が合うねえ、桂さん!」
「へえー、ちょっとびっくりです」
 言葉の声には嬉しさがこもっている。
「いや、『銀魂』は私はちょっと……」
「あははは……」
 意気投合する唯と言葉に対し、澪と誠は思わず苦笑。

「伊藤も」澪は誠に、「足の方は大丈夫なのか?」
「ええ、痛みはすっかり無くなりました。やっぱり、唯ちゃんの笑顔に癒されたからかな」
「そうか……。唯って、いい笑顔するもんな。
それと、マスコミに追われたりしてないか?」
「いや、大丈夫です。ムギさんだけでなく言葉も、いろいろ手を尽くしてくれてますし……」

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