第3部:学祭2日目
最終話『交差譚詩曲(クロスバラード)』
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とする。
「憂さん!!」あわてて誠は、「俺も……これから唯ちゃんとずっと接していきたいんだ!! 友達として!!
唯ちゃんの笑顔で、癒されるから……純粋になれるから……!!
振っちゃったことを、少しでも償いたいと思うし……。
その……唯ちゃんと友達になることを、許してくれて、ありがとう!!」
誠は深々と、頭を下げた。
憂は呟くように、
「友達として、お姉ちゃんを泣かせないであげてね……」
そのまま、外へ出て行った。
ガチャリ。
重い、黒いドアがしまる。
「あの子、とても大胆ね……」
母はポカンとしつつ、
「ほんと、無茶な人です」
言葉は、ため息をひとつ。
「でも……」誠は頬を押さえたまま、「憂さんの気持ちもわかるよ。
ずっと俺のことを好きだった唯ちゃんを泣かせちゃったわけで。
俺だって『妹を泣かせる男がいたら俺が殺してやる。』と思うもの。ジャイアンじゃないけど」
「結局」母は微笑を浮かべながら、「それが貴方の選択なんでしょ。言葉さんが一番好きだってことが。
1人に絞ったということは、選んだ人だけではなくて、拒んだ人にも誠実なこと。
憂さんのいうことも気にしない。唯ちゃんにも誠実なのだから。
もうあの男とは違うのよ。
もっと自分の決断に自信を持ちなさい」
誠は、自分に言い聞かせるように
「そうだな……。もう俺は、親父とは違う道、自分の道を歩いて行ってるんだよな……」
「そうよ。自分を信じればいいの。
やっぱりあなたは、私の子。
なんだかんだいっても、着実に自分の道、いい道を歩いて行っているのよ」
にっこりほほ笑んで、母は、
「じゃあ私、夜勤の仕事があるから、行くね。言葉さんも、この子をよろしくね」
身支度を整えると、すぐにマンションの入り口を出てしまった。
「誠君……」
「言葉……」
いたると言葉と、3人きりになった。
左頬に残った痛みは治まらず、憂の怒りと悲しみが半々の表情も、泣きじゃくる唯の顔も、頭の中に残っていた。
「平沢さん……大丈夫でしょうか。あれからずっと、泣きっぱなしだったけど」
言葉が口を開く。
「言葉……?」誠は目を瞬きさせながらも、「そうだな。学校休んだりしないかな……」
「でも……」言葉は桜ケ丘の方角を向きながら、「平沢さんは優しい人だから、私のために泣いてくれた人だから、きっと、私達のことをわかってくれると思うんです。
そしていつか、平沢さんと澪さんと4人で笑いあえる日が来ると思ってます。
きっとその日は近いと思いますよ」
「そう……だな……。信じれば、いいんだろうな……」
「そうです。その通りですよ」
にっこり言ってから、2人はいたるの遊び相手をすることになった。
「こうしてみると私達、家族のようですね。誠君、いたるち
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