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初音島の剣闘士
◆1 桜舞う島の剣闘士
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 ギラグを正気を取り戻した後だ。
共倒れになった俺たちの魂をベクターが回収。
親友が正気を取り戻し共倒れ、それなら俺は満足だった。

 だが、そうは問屋がおろさなかった。
ベクターが回収したのはバリアンとしての力だけだった。
俺の魂と意識は別の次元、別の世界を漂い気がつけば…

「さく、ら…?」

 巨大な桜の幹の下で横になっていた。
手元には魂のデッキがあるし、デュエルディスクはちょっと古めのタイプ。伝説のデュエリスト武藤遊戯が使っていたモデルにそっくりだ。
そこにはラストカウンターがセットされたままだ。本当にあのデュエルの後なのか…

 状態を起き上がらせて、周りを見渡しても、桜、桜、桜の木だらけだ。
しかし寒い。冬じゃないかと思うほど寒い。薄着だったためかたまらず縮こまる。
息をすれば白い息が出るし、地面も冷たい。冬だ。冬なのに桜が咲いている。
特に大木の桜はなんだか魅力的な物を感じる。心変わりみたいな効果があるのだろうか?
触ってみてもその巨大さに驚くばかりだ。寿命何年なんだろうか?

「気になる?その桜」

 突然後ろから声が聞こえ、思わず構えを取る。
これでも昔、剣闘士として名を馳せた者だ。昔の感ぐらいすぐ取り戻すさ。
だがこの子に敵意がないことが分かる。金髪でさらさらとしてそうなロング。
それに似つかわしくない子供のような姿。極めつけは魔法使いがよくつけているローブ。
無茶苦茶な姿に思わず笑ってしまう。

「フッ、フフ…お前、子供のくせに魔法少女ごっこか?いや、子供だからか」

「ちょっと!ボクは子供じゃないよ。れっきとしたレディーなんだから!」

 胸を張るが、その胸も小さい。更に笑ってしまい、怒られる。

「はいはい。で、そのレディーはこの桜のことを知ってるんだな?ついでにここがどこだかも教えてくれよ。気がついたらここで寝っ転がってたんだ。」

「ここは初音島。一年中桜が咲く島だよ。知らないの?結構有名なんだよ、ここ?」

 どうやら人間世界のどっかの島らしい。
しかも桜が一年中咲いているときた。オカルトだな。まぁ俺は幽霊なんだが…

「それで、君はどうしてここに?」

「それがよく分からねぇんだよ。いつの間にかここに来たっていうか…」

 説明が出来なく頭をかきむしる。
一度死んだ幽霊だなんて言ってもどうせ分かっちゃくれねぇだろうし、

「ふーん、じゃあ路頭に迷ってるって感じ?ならうちに来てよ!」

「ちょっと待て、見知らぬ男を家に入れていいのか?親がダメだって」

「その親がボクなの!」

 ちょっと引き気味にお、おうと答えておく。
まぁ俺は遊馬以外興味ないし、粗相は起こさないだろう。

「で、返事は?」

「いいぜ!俺
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