第十一章 追憶の二重奏
第三話 決心と決意
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悲しげに自身の身体を抱いて肩を下げるカトレアの肩に手を置き、士郎は高速で首を横に振りながら必死な形相で問い詰める。
「シロウさんはルイズの使い魔ですし。それにルイズよりも頭一つほど小さいお姉さんの事が大好きだったんですよね? ああそう言えば、シロウさんが助けにいったガリアのお姫さまも随分小さな方だったような……」
「だからなんでさっ?! なんでそんな話しになるんだっ!?」
「シロウさんの好みの女性の話をしていたのでは?」
「何時そんな話が出たッ?! それに俺は別に小さいのが好きなわけじゃないっ、大きいのも―――って何言わ―――」
大口を開けカトレアに迫る士郎の顔が、
「―――では、シロウさんは私でもちゃんと欲情するんですね」
ピシリと固まった。
時がカチリと凍った音を、士郎は聞いた気がした。
時が止まったかのような沈黙が満ちる中、士郎はひりつく喉を何度も鳴らしながらベッドの上でニコニコと機嫌よく笑っているカトレアに問いかける。
「・・・・・・カトレアさん……今、何て?」
「シロウさんは私に欲じょ―――」
決定的なフレーズが口から飛び出る前に自分の両手で押さえつけた士郎は、額に浮かぶ汗を肩で拭いながら震える声を喉から絞り出した。
「何故っ、どうしてっ、突然ッ、そんな言葉が出るんだ?!」
一つ一つ区切りながら絶叫する士郎に、カトレアは口を塞ぐ手に自身の手を添える。そっと壊れ物を扱うかのように士郎の手を自分の口から外すと、カトレアは笑みが浮かぶ口元を動かす。
「いえ、ロングビルから聞いてはいたんですが、でもやっぱりこうい事は本人から直接聞かない限り安心できないといいますか……」
「だからどうしてと」
「本当にわかりませんか?」
「っ」
穏やかな笑みを目の前にして、士郎は小さく言葉に詰まった。何かを言おうと口を開くも、直ぐに閉じ、両手で顔を覆うと天井を仰いだ。
「っあ〜……わからない……とは言えないな」
「そうですよね」
相槌を打つカトレアを士郎は横目で睨み付ける。
「いいのか」
「何がですか?」
「ロングビルと話したということは、わかるだろ」
「何を?」と尋ねるようなことは勿論しない。カトレアはただ変わらぬ笑みを口元に湛えながら小さく頷く。
「はい」
「聞いても、いいか?」
否定も肯定もせず、カトレアは深めた笑みでもって士郎の問いに応えた。だから士郎は聞く。疑問に思ったことを。
「何で―――俺なんだ?」
「さあ、何ででしょう?」
顎に人差し指を当て、小さく横に顔を倒す。眉も曲がり、一生懸命に考えている呈を示している。
「何ででしょうって……わからないのか?」
「わからないと言
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