第十一章 追憶の二重奏
第三話 決心と決意
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ははは」
「あは、ふふっ、ふ、ふふ」
弾けたように口から吹き出た笑い声は明るく朗らかであった。ただ、ただ自然と湧き上がる思いから生まれた笑い声を上げながら、二人は笑い合う。笑いすぎて目尻に浮かんだ涙を指先で拭いながら、声を上げ笑い合う。腹を抱え、笑いの勢いに負けるように背中からベッドに倒れた二人は、顔を横に倒し互いの顔を見交わし手を伸ばす。互いの指先が触れ軽く絡め。二人は互いの結び目を見つ合う。口の中に笑みを含んだ顔を上げ互いに視線を交わし合うと、ルイズとアンリエッタは顔を離しベッドの天蓋を見上げた。
ベッドの上に横になりながらも、互いの手を取り合う二人は、笑い合いながら笑みを含んだ声を漏らした。
「……そっか」
「……ですか」
天蓋を見上げる二人は示し合わせたように同時に絡め合った指先に力を込める。
「―――何だかシロウさんに会いたくなりました」
「―――シロウに会いたいな」
こてりと顔を横に向け、互いの顔を見合わせ軽く目を見開くと直ぐに口の端を曲げ。
「「なら、会いに行きま―――」」
声を上げた瞬間、ドアが部屋に向かって弾け飛び、
「「―――ッッ!!?」」
幾つもの黒い影がベッドの上に寝転ぶルイズとアンリエッタに向かって飛びかかった。
「じゃあ、そのサクラさんとリンさんとの諍いに……」
「いや、諍いというレベルじゃないなあれは、もはや戦争だ。出来ればというか絶対に近づきたくはないんだが……止めないと家が破壊尽くされてしまうからな」
「ほ、他に止める人はいなかったんですか?」
空になったグラスを掲げ、細めた目で見上げた士郎は、口の端を小さく曲げた
「まあ、昔はいたんだが」
「いた、ですか……それは?」
士郎が零した寂しげな声色に、カトレアは微かに眉を寄せる。
「ああ、俺の姉なんだが。これがまた元気でしかも悪戯好きな人で……あの人自身がトラブルの元になることも何度もあったな」
「シロウさんのお姉さん……ですか」
手持ち無沙汰を紛らわすかのように、カトレアはテーブルに置かれた空のグラスの縁をなぞる。
「と言っても義理の姉だがな。さっき言ったが、俺は親父の義理の息子だが、イリヤ―――姉は親父の実の娘だった」
「イリヤさん……ですか。どんな方だったんですか?」
ワインボトルをテーブルから取り上げたカトレアは、士郎の持つワイングラスの中に中身を注ぎ入れる。透明なグラスの中程まで満たしたルビーの如き赤い液体を揺らしながら、士郎は過去を見るように目を細めた。
「綺麗な人だったよ。とても、な……。雪のように真っ白な髪と肌、そして
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