第十一章 追憶の二重奏
第三話 決心と決意
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俯かせる相手に、ルイズは苦い笑いを向けた。
「い、いえ。そ、そんな気にしないで下さい。別にまだ何もしていませんでしたから」
「まだ?」
「―――ッ!!? べっ、べべベッ、別に何もしていませんよッ?!」
「……そ、そうですか」
微かに頬を赤く染めた顔を背ける相手の姿に、ルイズは真っ赤に染め上げた顔を俯かせ、身体を小刻みに震わせた。
ばッ、バレてるぅぅ〜〜〜ッ!?
ナニをしていたか察せられていると確信しながらも、ルイズはそれを口にすることが出来る筈もなく、ただただ俯いていた。しかし、何時までもこのままではいられないと心に喝を入れたルイズは、未だ赤く染まった顔を上げると、震えながらも口を開いた。
「ひ、姫さま」
「な、何ですかルイズ」
…………………………………………………………。
目のキョドらせながらだが顔を自分に向けるアンリエッタに、ルイズは引きつった笑みを向けたまま続く言葉を告げることが出来なかった。互いの赤く染まった顔を見合わせ、じっと押し黙る二人の少女。
ゴクリと喉を一つ鳴らすと、ルイズはゆっくりと顔を上げる。湯気が出そうなほど赤く熱くなった顔を無理矢理動かし、ルイズは何とか声を喉の奥から絞り出す。
「そ、その、わたしに何か用ですか?」
「え、ええ。す、少し話しがあって来たんですが……」
「話しですか?」
「ええ」
ふぅ、と小さく息を吐き、穏やかな笑みを浮かべたアンリエッタはこくりと首を縦に動かした。
「昔と、今と……これからの話を……」
「―――どうぞ」
カトレアに促され士郎が入った場所は、カトレアの自室だった。二十メイル四方は軽くあるその部屋は、一見してガランとした印象を持った部屋であった。部屋の隅に天蓋付きのベッドとその脇に置かれた小さな机、そして本棚が一つだけ。士郎がカトレアに勧められたのは、その中の一つ、
「……カトレア、俺の目にはベッドに見えるんだが?」
「ええ、丁度椅子を切らしていまして」
「……そうか、切れるものなんだな椅子って……初めて知った」
細めた目で天井を見上げた士郎は、ふと何かに気付くと広い部屋をぐるりと見渡した。
「シロウさん?」
カトレアの訝しげな声に顔を向けた士郎は、眉を潜め首を傾げた。
「いや、動物がいないと思ってな。ほら、学院の部屋には動物が所狭しといただろ」
魔法学院のカトレアの部屋には、士郎は何度か入ったことがあった。勿論? 二人っきりなどではなく、ルイズやロングビルたち等と一緒ではあったが。その時にお邪魔したカトレアの部屋には野生の動物だけではなく、何故か学院の生徒の使い魔の姿もあった。だから士郎はカトレアに部
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