第十一章 追憶の二重奏
第三話 決心と決意
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たから分かるようになった。
ずっとここにいたら、きっと気づけなかったと思う。
自分の中に夢が生まれ、それを叶えようと思った時に気付いた。夢を叶えるには、力が必要だと。それは単純に魔法の力だけのことじゃないけど、でも、魔法の力も必要だった。
「……ゆめ……か」
持ち上げていた手を下ろし、両手で掴んでいた人形を抱きしめる。柔らかなものが、胸元で潰れるのを遠く感じながら、ルイズは名前を呼ぶ。それは、自分の夢に必要不可欠な存在の名。口にしただけで、胸の奥が暖かくなるそれを口にし、ルイズは自身の身体を抱きしめる。
「……シロウ」
胸の奥で灯った熱を抱きしめるように、強く人形ごと自分の身体を抱きしめるルイズ。口から溢れる吐息は熱く、何処か切ないものが含まれていた。ベッドに身体を擦りつけるように動き、皺一つなかったシーツに波が生まれる。人形を抱きしめていた手が離れ、ルイズの身体の上から小さな騎士がこぼれ落ちた。しかし、身体を包む両手は離れることなく、強く自身の身体を抱いたまま。捩れる身体と掴む指先に服の上にも波が生まれる。脇腹辺りに生まれた波は、何時しか上下に別れ、ゆっくりと先へと進んでいく。身体の線のなぞるように動く指先は、無意識にルイズの一番深い記憶に刻まれたそれを再現していた。上へと進む波の生まれる先が緩やかな丘を上り始め、下へと進む波の先端が上下を分ける境目に触れると、期待するかのようにルイズの細く白い喉がごくりと蠢く。うっすらと浮かび始めた汗が、寝巻きをしっとりと濡らし、これから訪れるナニカに期待するかのように、ルイズの身体がブルリと二度、三度と震えた。
強く瞑られた瞼に更に力が入り、進む指先にも力が入る。
加速度的に鋭敏になっていく身体に比例し、ルイズの口から漏れる吐息が段々と荒れていく。鼻にかかったような息苦しいような、しかし何処か甘い声を喉奥から漏らしながら、ルイズの指先が決定的なそこに触―――、
「ルイズ、今い―――」
「っきゃああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁっぁあぁぁっぁぁぁぁぁ―――――――――ッ!!??」
盛大な悲鳴が城を揺るがした。
部屋の前に集まった使用人を口八丁手八丁で何とか散らしたルイズは、閉じたドアに背中を当てるとずるずると床にへたり込んだ。顔はだらりと垂れ下がり、桃色の髪がカーテンのように顔を覆う。
「ご、ごめんなさいルイズ」
ルイズ以外に人影が見えない部屋の中に、唐突に女の声が響く。
俯かせていた顔を上げ、ルイズは声が聞こえてきた方向に顔を向ける。視線の先には、ベッドの下からごそごそと這い出てくる人影の姿が。ベッドの前で、身体に付いた埃をはたき落としながら、恥ずかし気に顔を
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