第五章
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だがそこまでだった。
気力を振り絞って投げ抜いた岡林は遂に一勝も出来なかった。その力投を評価されシリーズ敢闘賞をもらっても彼の心は晴れなかった。勝負に勝てなかったからだ。
飯田は石井のボールを捕れなかった。広沢はホームを奪えなかった。辻のボールを見ずに突っ込んでしまった。そして古田の最後の配球ーーー。ファンは言った。
「西武相手によくやった!」
と。だがその言葉で彼等が慰められる筈もなかった。
あと少しだった。あと一点。だがその少しが限り無く遠くあと一点がはてしなく多い点だった。その少し、一点こそがヤクルト
と西武の差だったのだ。その少し、一点を果てしないものにする。それが王者西武の強さだったのだ。
ヤクルトナインは敗北の屈辱を噛み締め戦場を去った。そして胸の内にある決意を秘めた。
「打倒西武!」
彼等は早速次のシーズンに向けて動きはじめていたのだ。その屈辱を、無念を晴らす為に。
2004・3・2
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