SAO編
序章 はじまりの街にて
2.変わる世界
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えていた楽団がどこからか再び現れ、広場にいる人々の顔とは正反対に明るい曲を演奏し始めた。
それで我に返ったのか、茅場の言葉で唖然となっていた者たちが叫びだす。
いや、それは《叫び》なんて甘いものではなかった。
阿鼻叫喚の地獄絵図の如く、はじまりの街の中央広場付近に転移させられた一万にも及ぶ人、人、人の絶叫や怒号。
「嘘だろ……なんだよこれ、嘘だろ!」
「ふざけるなよ! 出せ! ここから出せよ!」
「こんなの困る! このあと約束があるのよ!」
「嫌ああ! 帰して! 帰してよおお!」
俺の周りでも数多くの人間が、泣き、叫び、怒り、打ちひしがれ、また唖然としている。
俺は、周りが錯乱しているためか、もしくは事の深刻さを本当の意味で理解していないのかは解らなかったが、比較的冷めた目で周りを見ていた。
自分の理解を超えた状況に陥ってしまった場合どうすればいいのか。
俺は、祖父の教えを思い出していた。
――まず、己の目で、耳で、肌で、全てで感じたものを、そのままに心に受け入れるのだ。
――そして、それに対して自分に何が出来るのか、それを考える。そう、考えることが大事なのだ。思考を止めてはいかん。
そうだ。この状況に陥ってしまったことは、もうどうにもならないのだろう。
茅場晶彦が作り出したこの状況。ただのゲームを、死の可能性のある危険なものにしてしまったこと、それは勿論犯罪だ。
しかし、それが犯罪だということは茅場にも解っていた事だろう。なのに実行した、それが重要となる。
つまり、茅場はもうあとには引けない。いくら叫んだとしても、茅場はこの状況を何とかしようとは思わないだろう。
では、叫ぶことが無意味なのだとしたら俺には何が出来る?
機械に疎い俺には、どういう原理でこの世界が出来ているのかも、この世界に入ることが出来たのかもよく解らない。
更に、ここにはゲームのシステムに干渉出来そうなものに心当たりなどは無い。
よって、俺がシステムに干渉する手段は取れない。あったとしても俺に何かが出来るわけも無い。
……いや、俺が出来ないのならば、他にシステムに干渉出来うる人物になんとかしてもらえばいい。
先ほど茅場は言った。今現在は茅場だけがこのゲームをコントロール出来る者だと。
ならば、茅場に何とかしてもらう、何とかしてもらえるようにすればいい。
しかし、今現在こちらから接触出来るとは思えない。
出来るのだとしたら、とっくに俺以外も殺到しているだろう。
他に、俺に出来ることと言えば……やはり一つ、か。
茅場は言った。第百層の最終ボスを倒せば、SAOから開放されると。
恐らく真実……だと思う。
茅場晶彦のことなんて、先ほど声を聞くま
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