SAO編
序章 はじまりの街にて
2.変わる世界
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「ログアウトできないって、どういうことだよコラ!」
――ログアウトが、出来ない……?
俺は《システムメニューウィンドウ》を開き、マニュアルに書いてあったログインボタンを探した。
「…………」
――無い。
最初に開いたときにはしっかりと在ったと記憶している。しかし、今は無い。恐らく先ほどの違和感はこれだったのだろう。
周囲が引切り無しに叫んでいる《GM》とは、《ゲームマスター》。ゲームの管理者のことだという。
暫くすれば、そのGMが応答するのだろう。
しかし、俺は未だ連絡のつかない友人のことを考えていた。
ゲーム、というより機械全般の知識が無い俺にはよく解らないが、ログアウトができないということは、ログインもできないのだろうか。
あれだけ楽しみにしていた二木がSAOに入れないというのは、なんとも不幸な話だ。
何も知らなかった俺はこのとき、暢気にもそんなことを考えていた。
直後、異様な雰囲気とともに上空に映った人影に気付いた者が、それを指差しながら叫んだ。
そして俺は、ソレを見た瞬間、ある言葉が脳裏を過ぎった。
――《仮想》が変わる。
そんな、言葉が。
――そして、現在に至る。
茅場晶彦と名乗ったその声は、俺たちSAOにログインしているプレイヤー全員に、ゲームからのログアウトの不可と、自分のHPがゼロになった瞬間、実際に現実の自分の体も死を迎える、そう言った。
『諸君は今、なぜ、と思っているのだろう。なぜ私は――SAO及びナーヴギア開発者の茅場晶彦はこんなことをしたのか? これは大規模なテロなのか? あるいは身代金目的の誘拐事件なのか? と』
茅場の声は事務的で冷たい印象を受ける。しかし、俺にはその声は、どこか玩具を手に入れた子供を連想させた。
『私の目的は、そのどちらでもない。それどころか、今の私は、すでに一切の目的も、理由も持たない。なぜなら……この状況こそが、私にとっての最終的な目的だからだ。この世界を創り出し、観賞するためにのみ私はナーヴギアを、SAOを造った。そして今、全ては達成せしめられた』
――この世界を作り出し、観賞するため。
それが、茅場晶彦の目的だという。
そのために、俺を含めた一万人が、この《SAO》に閉じ込められ、HPがゼロになったら実際に死ぬというゲームらしからぬ枷を付けられたというのか。
『…以上で《ソードアート・オンライン》正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の――健闘を祈る』
その言葉を最後に、ローブの巨人の映像は消え、薄暗くなっていた空は夕暮れの赤さを取り戻し、いつの間にか消
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