After days
挿話集
妖精達の凡な日常A
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へ至るための難所、ビフレスト。いくら彼女と言えど、最古参プレイヤー達ですら近寄らないこの場所を上の空で進むことは出来ない。
「……今から心配しても仕方がない、か。……《グングニル》」
彼女の手に黄金の穂先を持つ三叉槍が出現する。
「『A』――其は最源にして頂。幾千の槍を以って神敵を打ち砕け――」
グングニルから発せられる黄金の光がその空間を塗りつぶしていく。古の秘言によって《原初》の姿を解放されたグングニルは輝きながら無数に分裂し宙に浮いた状態で、忠実な飼い犬のように主人が命令を下すのを待っている。
「行こうか、グングニル」
周りの空間が歪み、ビフレストのど真ん中に巨大な影が現れても彼女はまるで散歩するかのような歩調で進んでいった。
Side:???
ノーム領最北端、氷河エリア
「……なーんか忘れられてないかねぇ?」
特に根拠も無くそんな事をポツリともらす巨漢の剣士。その視線の先にあるのはアルヴヘイムの中心にある大都市アルン、そしてとある方法によって上位世界アースガルドへと繋がる橋、ビフレスト。
時同じくしてグングニルの使い手が謎の言葉を吐いていたが、勿論それが遥か遠いノーム領にいる彼に届いた訳では無い。
偶然か、それとも鋭すぎる直観から来る未来予測か…………。
「何故かルカは俺の事を毛嫌いするのか……いやはや、理解できないなぁ」
ふぅ。とため息を吐いている彼に頭上から声がかかる。
「お頭ぁ〜。準備完了ですぜ!!」
「おーう。ご苦労さん……さて、出掛けるか」
手に携えていたロングソードを背の鞘にしまい、氷河エリアを海に向かって歩いていく。いや、海のあるはずの方向に歩いていった。
「ハチ、今日はどれくらい入ってる?」
「へい、お頭入れて15人です。飛べますね」
「阿呆……ウチらの秘蔵っ子をお天道様に晒してどうする。今回も領主閣下からの依頼を遂行するだけだ」
「ちぇ……言ってみただけっスよ」
彼らが見上げるのはノーム族が保有する魔導戦艦《フリングホルニ》。
普段は岸辺に浮かぶ不動オブジェクトだが、《鍵》を使う事によってその真価を発揮する事ができる。
「《ミスティルテイン》、今日も元気にお仕事しますか」
愛剣にそう語りかけ、巨漢の戦士は大海原に乗り出した。
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