After days
挿話集
妖精達の凡な日常A
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》》とまで言われた剣士」
「…………知りませんね。《征服王》と言うのはシルフではありませんでしたか?」
「ふふ、そうだったかしらね。ごめんなさい、変な事を言ってしまったわ。……それでは」
女性は持っていた服を丁寧に棚へ戻すと、数歩歩いてから立ち止まった。
「無粋よ、ハンニャ」
店の戸が勢いよく開いて何かが女性に向かって飛び込んでくる。
――ギィッン!!
次の瞬間、目にしたのは鬼のような形相で紅蓮の大剣を振り下ろそうとしているハンニャ。対するは先程のサラマンダーの女性。こちらは黄金の穂先が付いた三叉槍を片手で携えている。
ハンニャは剣を押し込もうとするが、女性は一歩も引かず、三叉槍の刃の間で大剣を受け止めていた。
(レーヴァテインをああも簡単に!?……いや、あれも伝説級武器なのか?)
よく観れば、セインの見たことがある伝説級武器同様、それら特有のオーラエフェクトをまとっている。
ハンニャがゾッとするような低い声で言葉を紡いだ。
「《妖精郷》に何の用だ、アルカディア」
「何の用だって……私だって、ALOプレイヤーよ?」
「惚けんな。《天界郷》からわざわざ《ビフレスト》を渡って《妖精郷》に来た理由を訊いている」
《天界郷》……ALO黎明期に発見されたフィールドダンジョン、《ビフレスト》の先にあると言われている場所。
ビフレストとは当時から最高難易度を誇り、その場所限定の死亡ペナルティーの重さから最古参プレイヤーが封印した魔境。
「買い物と世間話よ。最近こっちには来てなかったんだもの。向こうには他のプレイヤーが居ないし、せっかくMMOやっているのに寂しいじゃない」
言葉とは裏腹に両者は臨戦態勢へと移行していき、周囲の客は足早に遠ざかっていく。と、そこへ
「こぉぉぉぉぉぉらぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
破裂音と共にハンニャと槍使いの女性が反対側に弾き飛ばされた。その中間値点には巨大な鋏が床に刺さった状態で鎮座しており、何かスキルを発動したのか、紫色のライトエフェクトをまとっている。
「ア、アシュレイさん……」
そう、一触即発の事態に割って入ったのは裁縫師のアシュレイ。確かにここは中立地帯のため、やろうと思えばPKも可能だ(かなり白い目で見られるが)。
しかし、ここはシステム的にも周知的にも彼女の領土だ。当然営業妨害に怒る権利があり、気に入らないのなら強制排除や
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