第九十九話 身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ
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う。直撃は回避し、それどころか反撃しようと行動に移している。
『これならばッ!』
アレックはビームを放ち、ルドルフはビームランスで貫こうとする。それに乗じるのは当然マーレ。だが、直前に悪寒を感じたマーレは咄嗟に近くのルドルフを突き飛ばし、自身もその反作用によってその場から離れる。
「避けろ、アレック!!」
叫んだと同時に光の筋――――ビームによる攻撃が何発も放たれた。
『ドラグーンかぁ!?』
『ほう……今のに気付くか。だが、これで残るは二機だ』
マーレに突き飛ばされたことによってルドルフは間一髪の所で攻撃を躱した。しかし、アレックの方は警告が間に合わなかった為に両腕を破壊されてしまう。
『コックピットを穿たれなかっただけマシだと言えるか……フン、言い訳にもならんな……』
真っ先に戦闘不能へと追い込まれてしまった事を悔やむアレック。マーレの咄嗟の警告が無ければ死んでいたであろうことすら想像するにたやすい。それほどまでに今の攻撃は危険なものだった。
「あとは俺とルドルフでやる――――帰還してくれ!」
『分かっている。これではいても足手纏いにしかならんからな……』
そうせざる得ないことに嘆きつつも、アレックは現実を見据えれない愚か者ではない。撤退を素直に受け入れる。先にやられていたのがルドルフなら駄々を捏ねただろうな、などとつまらないことを考えつつアレックは戦線から引き下がった。
「――――追撃を仕掛けなかったのは情けか何かか?」
アレックが下がったのを頃合いにマーレは通信で議長に問いかける。無論、追撃を仕掛けてきたなら全力で抵抗しただろうが、議長の機体の性能とその実力からして抵抗は難しかったはずだ。少なくとも、もう一機位は屠れた筈である。だが、マーレの予想に反して議長は追撃を行わなかった。
『いいや、私は本来学者や政治家であって殺戮者ではない。必要となるなら落とすことに何一つ躊躇いを持つつもりはないが、だからといって無駄に人を殺す必要もないだろう』
「その考え方――――後悔することになるぞ」
そう言ってマーレは一気に距離を詰める。隠し腕やビームトマホークといった強力な近接武装を持っている相手に近接戦は不利だろうが、ドラグーンや拡散ビーム砲、メガビームライフルといった遠距離武器を持っている相手に、距離を取って遠距離戦に持ち込むのも不利だ。
ならば自分の得意なスタイルで戦った方がまだマシだろうと割り切る。
「それに懐まで潜り込めば四方からの攻撃は無理だろう!」
『そうやすやすと、そんな甘い考えが通じるかな?』
議長の言う通り、それは考えが甘かった。そもそも懐に潜り込む前に火線に進路が阻まれてしまう。射撃として放たれる数の多さもそうだが、一発一発の
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