第九十九話 身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
『ミネルバ?こんな近くに!』
追い詰められつつあったキラ達は偶然にもミネルバ側のザフト本隊の一角といえるミネルバと出会う。
「あれは――――!」
「アークエンジェル……この戦いに参加していると報告では聞いていたけど、実際に見ると複雑なものね……」
ミネルバもアークエンジェルやキラのストライクフリーダム、その他MS隊であるアストレイやムラサメ、リゼルを見て驚愕する。
『随分と役者もそろってきたじゃないか』
クラウもミネルバの登場に少々驚くが、寧ろ好都合だと舌なめずりをする。ザフトの本隊と合流することになったのか、それともミネルバが本隊からずれてこちらに来たのか。どちらにしてもクラウには関係ない。目の前に現れたのであればクラウにとってはそれは最早落とすべき獲物だ。
「艦長、どうするんですか?」
アーサーがタリアにミネルバをどうするべきか尋ねる。味方ではないが、かといって敵とも言い難いアークエンジェル。無視しても問題はない。が、そうするには些か彼らの存在は大きすぎる。
「メイリン、あの艦に通信、繋げれる?」
「え、あ、はい!」
突然の事だが、メイリンも伊達にミネルバのクルーというわけではない。厳しい倍率を誇る最新鋭艦の管制官として配属されたのだ。高いハッキング能力もあることから秘匿性はともかく、彼らに連絡を繋げること自体はそう難しい事ではないかった。
「アークエンジェル、聞こえますか?こちらミネルバ艦長のタリア・グラディスです」
「ちょ、艦長!?何を!」
アーサーが慌てて止めるように進言するが、タリアはそれを目線で黙らせる。若干、いや実際にはかなり脅えて竦んでしまうが、それでもアーサーはハッキリと連絡を取る事は反対だと視線で訴えた。
タリアはそうやって自分の意見を主張できるようになった自分の副官であるアーサーの成長に場違いながらも嬉しく思う。だが、それで連絡を取りやめる気はない。それとこれとは話は別だ。
『お久しぶりです、グラディス艦長。こちらはアークエンジェル艦長、マリュー・ラミアスです。ご用件は何でしょうか?』
激戦が続く戦場という事もあり、音声のみでの通信が繋がる。タリアは手短に自身の考えを伝えた。
「現在、本艦を含め一部のザフトはメサイアに存在している同じザフトの勢力と敵対しています。事実上、内乱といっても過言ではないでしょう。また、貴艦とは本来であれば敵対関係にあります。ですが、誠に勝手であることを承知の上で我々は貴艦への協力を求めます。
この求めに応じていただいた場合、責任は総て私、タリア・グラディスが持つこともここで宣言いたします」
タリアにとって最大限、いや自らの立場をかなぐり捨てる様な覚悟があって初めてできるほどの譲歩だった。通信を聞い
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ