暁 〜小説投稿サイト〜
ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
本編
第38話 騎獣とティアとカトレア 女って怖い
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折り畳まれてもなお巨大さに圧倒される翼です。この翼を広げるだけで、このガルム舎は脆くも壊れてしまうでしょう。

(私も初めて見ましたが、ただ圧巻の一言ですね)

 そこで、ふと気付きました。ティアが正体を晒しても、その巨体で柱や建物に被害が及んでいないのです。良く見ると私達が居た位置も、大丈夫なように配慮されていました。そこで冷静に周りを見回すと、オイルーンはまだ立ち向かう気概を見せていますが、他のガルム達は震え上がり縮こまっていました。

「主達は耳を塞いでおれ」

 そしてティアが、大きく息を吸い込みます。

「ッ!! ……アナスタシア!! 耳を塞ぎなさい!!」

「え……?」

「早く!!」

「は はい!!」

 私達が耳を塞いだ次の瞬間、爆音が轟きました。

 ……龍の咆哮。

 その凄まじいまでの音の波は、耳を塞いでなお体の芯まで響き、肌はビリビリと電気を流された様な感覚を受けます。尻餅をつかずに済んだのは、私達がティアの後方にいたからでしょう。もし正面に居れば、耳を塞いでなお気絶していたかもしれません。

 そして、あのオイルーンの上体が後ろに泳ぎ、終には倒れてしまったのです。

 後に残ったのは、必死に降参・服従のポーズをするオイルーンと、気絶してピクリとも動かないガルム達でした。いや、オイルーンはあの咆哮を真正面から受けて、気絶していないだけで十分に凄いのです。

 ティアはそれを確認すると……。

「我をまといし風よ、我の姿を変えよ」

 いつもの黒猫の姿になりました。

「格の違いが理解できたか? 犬っころ」

「くぅ……。何が望みだ漆黒の韻竜」

 オイルーンが悔しそうに、言葉を吐き捨てます。

「多くは望まぬ。ただ……」

 ティアはそこでわずかに逡巡した後、声を張り上げました。

「吾の主に気安く近づくな!!」

「なに?」「は?」「へ?」

 その言葉を聞いて、私達はまともなリアクションがとれませんでした。やがてその意図を飲み込めたのか、オイルーンが余裕を取り戻し失笑を漏らしました。

「何が可笑しい!!」

 格下のその態度に、ティアは怒りをあらわにします。

「我の事より、後ろにいる貴様の主の心配をしたらどうだ?」

 ティアが振り返り、私と目が合いました。

「……あ 主?」

 正直に言うと、私はこの時かなり怒っていたと思います。

「如何いう事ですか?」

 龍の咆哮まで放ったとなれば、今頃外は大騒ぎになっているでしょう。これだけの事をしておいて、理由が嫉妬ですか? ふざけないで欲しいです。

「そ それは……その」「兄様……」

 ティアの口調がしどろもどろになり、アナスタシアは私か
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