第三話 【嘘吐き】
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俺の方が早いからお兄ちゃん。それ以外は認めん」
快は強気で言い切ると陽奈はむぅーと頬を膨らます。
「へえー、お前ら双子だったのか。全然似てないな」
率直な感想を言ってみると、快と陽奈では全く特徴が一致しない。まぁこれが男女の区別って奴か。
「よく言われるなぁ。大地、お前は俺の親友だぁ。似ていない真実を話そうじゃないか」
ギャルゲーをしているときにしか見られないような真剣な表情で快は語ろうとする。真実を。
ちょっと。と止めようとする陽奈に快は片手で待てと合図をとる。
「嘘偽りのない実話だ。来てくれ、大地」
快が余りにも真剣なので一応、唾を飲みこんどく。ゴクッ。
「俺と陽奈は親が違うし、もちろん血も繋がらない他人だ。ある病院で俺と陽奈は偶々、同じ日に生まれた。しかも偶然にも俺の親父はと陽奈の親父は仲の良い親友だった」
と言って、俺と大地みたいな感じな。と付け加えてニッと笑う。
「小一の時だ。少し肌寒いある日、男手一つで育てていた陽奈の親父さんが殺された。殺したのは通り魔だ。運が悪かったってみんな言ってたけな。動機は聞いた話によると実にシンプルで人生に躓いて憂鬱だったから人を殺して見たくなった。すぐにその通り魔は捕まって、懲役何年だけな? まあ良いか。数日後、通り魔はどうやったのか脱走した。その数時間後、通り魔は死体として見つかった。なにがあったかは不明」
快は忌々しそうに言い捨てる。陽奈も表情が曇っているのを見るとこの現実離れしている話しも実話に思う他ならない。
「葬式で親父が無理言って、陽奈を預かることを決め。無理を通し陽奈を養子にした。こんな感じかなぁ」
快が語り終えてから沈黙が訪れた。陽奈は途中から聞いていられなくなり話しの途中に部屋を出ていった。
「聞かせて悪かったな。こんな話し」
申し訳なさそうに謝る快。
「聞きたくなかったよ。全くもって聞きたくなかったよ。こんな、こんな悲しい嘘を」
快は、ばれたかぁ。とニッと満面の笑みで笑って
「気付いていたのかぁ。ちぇっ、ばれないと思ったのになぁ」
「気付くだろ普通に。今朝やったギャルゲーのプロローグ通りじゃねぇか」
あっ、やっぱりぃ。と言って快はコーラを飲む。
俺も快に注いでもらって炭酸が随分抜けたコーラを飲む。
「それにしてもお前の妹は随分演技がうまいな。演劇部かなにかに入っているのかよ」
「演劇部には入ってないなぁ。演技は昔から得意だしなぁ、陽奈は」
「あの演技力凄いな。本当に泣いていたと思った」
あの泣き真似は長年嘘吐きの嘘を見破っている俺でさえも騙し欠けたのだから。
快を見ると相変わらずギャルゲーをしている。
ギ
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