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SAO二次創作者と、二次主人公ズの、やりたい放題桃太郎
第四章 奇襲作戦
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あるわけがない。そのはずなのに、隣のまさきと彼が着せてくれた羽織を交互に見ると、何故かそれも本当のような気がして。

えみ「お願い……」

えみは静かに着せられた羽織のすそをぎゅっと掴み、今から戦地に赴こうとする隣の彼の無事を強く祈った。

その後しばし待っていると、先方のりんが待ち構えているはずの辺りが俄かに騒がしくなった。目の前を通る賊の足が止まり、集団の中央で馬に乗っている男が、なにやら伝令を使わせようとしている。

まさき「……さて、それじゃ、そろそろ証明第二節といきますか……!」

まさきは口元を獰猛に歪めると、両側の腰から投剣を一気に八本ほど抜いて指の間に挟むと、今度は腕を大きく振って一気に投げた。放たれた八本の投剣は、適度にバラけながら賊の集団に飛び込んで――

まさき「……ボンッ」

まさきの呟きと同時に、柄の部分から灰色の煙を勢いよく噴射した。その煙は瞬く間に集団を覆い、混乱の渦に巻き込む。

「何だ!? 敵襲ぎゃあっ!?」
「どうした!! 一体どうなってぐわぁっ!?」

投剣を投げ込む直前に敵の位置を記憶したまさきは、その情報に従って疾風の如く駆け抜けながら確実に殺していった。何人かは走ったり逃げ出そうとしたりで位置が変わっていたが、そこは走ったときの足音や辺りに飽和している叫び声の反響具合から位置を推測して確実に仕留めていく。

「な、何が起こって……」

そして、ようやく煙が風に流され、唯一残った馬上の男が見たものは。

まさき「……一人、残ったか。尤も、それも計算通りだが」

視界が全くない状況下にも関わらず急所を一撃で仕留められている部下だったものたちと、その中央に立つ一人の青年――まさきだった。

「な、な……」

視界がないのに、一体どうやって。
この男は、一体誰なんだ。

馬上の男の頭に浮かんだのは、これらの思考のどれでもなく。

「に、逃げねぇと……!」

圧倒的強者から逃げろ、という、純粋な生存本能だった。

「ひ、ひぃっ……!」

男は咄嗟に馬を引こうとするが、強張った筋肉が脳からの命令を拒んだ。馬から転げ落ち、地面に這い蹲る。馬は彼の殺気に触れ、我先にと逃げ出してしまった。

まさき「フン……」

そんな男を憐れむようにまさきは笑い、手に蒼風を提げてゆっくりと近付いてくる。男は腰を抜かし、這って逃げようとするが、当然、まさきにすぐ追いつかれてしまう。

「……ま、待ってくれ! 違う! 俺は違うんだ!! 仕方なく……そう、あいつらに脅されて、仕方なくやってたんだ!!」
まさき「……」

男が必死の命乞いを始めると、男の頭上で、まさきの剣先がぴたりと止まった。僅かの希望を与えられた男は、それに縋るように命乞いを続ける。

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