糸流れ 史
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やだ。どくなのにすうの?」
「大人には薬なんだよ。お前はこれで我慢しろ」
用意しておいた駄菓子の一つを放り投げる。煙草の形を模した味付きの砂糖菓子だ。
不満げながらもレイフォンは箱を開け菓子を口に入れる。一本目はすぐさま噛み砕き二本目を口に咥える。真似をして指で抑えたりなどしてそこそこに満足気だ。
適当に変わりの菓子を与えれば満足とはいかずとも納得するのだから楽だ。やはり鞭の後の飴の順が大事なのだろう。
「次をやるぞ」
「ふぁーい」
菓子をくわえたままのレイフォンが返事をする。
ポケットの中から先ほどよりも小さく軽いゴムのボールを四つほど出す。それらに剄を込めていく。
レイフォンは少し離れ棒立ちになって視線を向けてくる。そこに向けボールを放り投げる。
レイフォンは投げられたボールを見る。山なりになって飛んでくる四つを見続ける。そしてその中の一つが突然弾けたように勢いを増しレイフォンへと向かう。それを分かっていたようにレイフォンは叩き落とす。
四つのボールは地に落ちる前に張り巡らされていた糸に触れ宙に舞い、そしてまたその中の一つが弾ける。レイフォンはそれを手で弾き続ける。
「一つ増やすぞ」
ボールを新たに一つ投げ入れる。それは先の四つと同じようにレイフォンの周囲を飛び続け、時に弾けランダムな動きを続けていく。
数ヶ月の間に気づいたことの一つがレイフォンの才能だ。レイフォンは剄を見るということに長けている。より詳しく言えば剄の流れを見ることだ。
剄の流れが見えるというのは技術としては重要なものだ。どこに剄が流れているか、どの程度流れているか。それが分かれば相手が技を使うタイミングや動くタイミングが掴み易い。
訓練を積めばある程度までなら誰でも出来ることだが得手不得手はある。ダメで他の分野で補うこともある。
レイフォンは剄を見ることに特に秀でているようだった。だからそれを伸ばす為に今のこれをしている。
投げられたボールには剄が込められている。その内の一つだけ違う剄が込められており、それがレイフォンめがけ動く。レイフォンは剄を目に込めて強化し、幾つかあるなから剄の違いでそれを見分け、向かってきたそれを弾く。ボールは周囲に張り巡らされた鋼糸によって巻き取られ剄を込め直されて再び宙に舞う。
込められた剄は微量でありボールが当たってもせいぜいデコピン程度。問題はない。
六つのボールがレイフォンの周囲を飛び交う。現状は見分けられるラインはそこが限度だ。
いずれは数も増やし大きさも微笑に、剄の違いも多彩で複雑にしていく予定だが現状では十分だろう。
一つ増やし七つにする。時たまレイフォンがボールに打ち据えられるようになっていく。
それを横目に、暇つぶし用に持ってき
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