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八条学園怪異譚
第五十五話 百鬼夜行その六
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「仮面ライダーだっていたでしょ」
「仮面ライダーもあそこなら普通っぽいですね」
「場所が場所だけに」
「あそこ程危険な場所はヨハネスブルク位よ」
 この世に現れた本物の世紀末救世主伝説とさえ呼ばれているその街とだというのだ。
「もうね」
「ううん、あまり行きたくないですね」
「アマゾンには」
「単身突入したら生きて帰れないわよ」
「猛獣か川の中にいる恐ろしい魚の餌になるんですね」
「それか毒蛇とかにやられて」
「本当に凄い場所だからね」
 地球での最大の秘境とさえ呼ばれているのは伊達ではないのだ。
「それこそ冗談抜きで仮面ライダーでもないと生きられないから」
「うちの学園なんか天国ですね」
「妖怪さんや幽霊さん達よりも凄い生きものが一杯ですか」
「緑の地獄だからね」
 茉莉也もこの言葉を出す。
「現実の生きものの方が妖怪さんや幽霊さん達よりずっと凄いのよ」
「事実は何とやらですね」
「奇、ですね」
「そういうことよ、まあとにかくね」
 ここまで話してだ、そうして。
 二人にだ、あらためて百鬼夜行の話をしたのだった。
「それで百鬼夜行のことだけれど」
「はい、そのことですね」
「本題ですよね」
「ええ、アマゾンとは違ってね」
 例えとしてまだ出しはするがそれで終わりだった。
「危険じゃないから、むしろ楽しいから」
「パレードだからですね」
「特にですね」
「皆が気が向いた時にするのよ」
「何時するかも決まってないんですか」
「満月の時にとかは」
「特にね」
 実際に決まってはいないというのだ。
「そういうのはないから」
「じゃあ今日しても普通ですか」
「不思議じゃないんですね」
「そうよ、まあ行く時になったら」
 その時にだというのだ。
「一緒に行きましょう、あとハロウィンもあるから」
「あれ西洋ですよね」
「それでもですか」
「西洋からの妖怪さんや幽霊さん達もいるじゃない、うちの学園」
 もっと言えば中国から狐も来ている、かなり国際色豊かであるのだ。
「だからするのよ。鼠さん達は鉄鼠さんていう妖怪さんが棟梁でね」
「鉄鼠さんですか」
「その妖怪さん達も泉に関わってるんですね」
「そうよ」
 その通りだというのだ。
「若し百鬼夜行でも泉に出逢えなかったらね」
「今度は鉄鼠さんに会って」
「それでも駄目ならハロウィンですか」
「そうなるわ、どっちにしてもあと少しよ」
 泉に辿り着くのはというのだ。
「だからね」
「諦めないで、ですね」
「最後まで」
「本当にあと少しだから」
「ううん、それじゃあ」
「最後の最後まで」
「ここまできたら最後までしないとね」
 茉莉也は二人に笑って言う。
「駄目でしょ」
「そうですね、それじゃあ」

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