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久遠の神話
第八十二話 四人への準備その十二
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「交通事故とかにもですね」
「注意しないと」
「はい、戦いで生き残った剣士が事故で死ぬことも過去ままありました」
 それで全てが無駄になったというのだ、最後の一人になれても。
「ですから」
「絶対にですね」
「事故にも」
「交通事故でも他のことでも」
 色々な事故がある、そうしたものや病気に対してもだというのだ。
「人は生き残ってこそですから」
「死ねば何にもならない」
「だからなんですね」
「はい、ですから事故にもです」
 気をつけて欲しいというのだ、上城に対して。
 そして樹里にもだ、聡美は言うのだ。
「村山さん、貴女もです」
「私もですか」
「貴女に何かあれば苦しみ悲しむ方がおられます」
 だからだというのだ。
「ですから絶対に」
「命を大切に、ですね」
「事故には気をつけて」
「そうですね、お母さんが死んで」
 樹里の母は彼女が子供の頃に癌で死んでいる、その時の別れのことは今でも忘れてはいない。忘れられない。
「凄く悲しかったですから」
「人を悲しませてはなりません」
 絶対にだというのだ、そのことは。
「ですから。いいですね」
「はい、私も絶対に」
「事故には気をつけて下さい」
 こう二人に言うのだった、樹里にまで。
 そしてだ、二人は聡美の前を後にしてだった。
 二人で弓道部の道場をしてそして言うのだった。
「戦いが終わっても」
「終わってもね」
「事故に気をつけてね」
「そうしていかないとね」
 こう樹里に言うのだった。
「僕達もね」
「ねえ、戦いが終わったらね」
「終わったら?」
「うん、僕は普通の生活に戻るから」
 こう言うのだった、剣士でなくなったら。
「とはいっても今でもね」
「剣士でない時はよね」
「そう、普通の生活をしているからね」
 こう言うのだった。
「完全に戻るつもりだよ」
「未練とかはないわよね」
「全くね、ないよ」
 何一つとしてだというのだ。
「こんな戦いにはね」
「願いは戦いを終えることだしね」
「そう、ないよ」
 全くだというのだ。
「だから安心してね」
「普通の生活ね」
「それでいいと思うんだ」
 日常、それを見ての言葉だった。
「戦いとかは好きじゃないから」
「だからなの」
「うん、いいから」
 これが上城の今の言葉だった、そして。
 樹里の横を歩きつつだ、こうも言うのだった。
「家まで送るよ」
「今日もそうしてくれるのね」
「夜道は危ないからね」
 もう夜になろうとしている、二人が歩くアスファルトも次第に暗闇の中にその青い色を消していっている。その道を歩きながら言うのだ。
「気をつけないとね」
「女の子一人だとね」
「危ないよね」
「危ないから」
 それでだというのだ。
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