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久遠の神話
第八十二話 四人への準備その十
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「野心はあっても」
「それでもなんですね」
「限度がある場合が普通です」
「じゃあ権藤さんは普通の人なんですね」
 上城は聡美の話を聞いてこのことを理解して言った。
「そうなんですね」
「そうです、確かに優れた方ですが」
 人間だというのだ、普通の。
「野心はあってもです」
「普通の人ですか」
「そうです」
「成程、そうなんですね」
「異様に思われることはありません」
 これが聡美の権藤への見方だった。
「そもそも野心は誰にでもあるものですから」
「人間にも神様にもですか」
「権力の場合もあれば富の場合もあり」
 その野心の種類も様々だというのだ、一つではないというのだ。
「異性であったり願いだったりもします」
「それじゃあ上城君にも野心があるんですね」
 願いと聞いてだ、樹里は気付いた顔になって聡美に問うた。
「そうなんですね」
「そうです、戦いを止めよう終わらせようとする願いも」
「それもですか」
「野心になります」
「じゃあ野心は汚いものではないんですね」
「その求めるもの、大きさにもよります」
 大きさ、野心のその大きさについても語る聡美だった。語るその目は澄んでいる。今語っていることの全てを知り受け入れている目だった。
「大き過ぎればそれを止められず」
「暴走するんですか」
「暴走する野心は魔物です」
 そしてその魔物に心を奪われてだというのだ。
「破滅に至ります」
「そう思うと野心は呪いにもなるんですね」
「なります、ですが彼はそこまで至っていません」
 野心を制御出来ているというのだ、自分自身で。
「ですから問題ありません」70
「じゃあ戦いから降りられることも」
「出来ます」
 それも可能だというのだ。
「ですからご安心下さい」
「じゃあ次は権藤さんですか」
「彼を止めます」 
 まさにそうするというのだ。
「そうします」
「そうですか、それじゃあ」
「先程も申し上げましたが運です」 
 権藤に必要なもの、それはというのだ。
「後は運さえあればです」
「あの人は首相になれるんですね」
「間違いなく」
 そうなるとだ、聡美は確かな声で樹里そして上城に答えた。
「ご安心下さい、必ず」
「あの人の願いを適えて」
「戦いから降りてもらえるんですね」
「絶対にです」
 こう強い声で言うのだった。
「お任せ下さい」
「じゃあ僕は今は」
「見ていてくれれば」
「それでいいんですね」
「今は」
「そうですか、何か僕達は」
 剣士達、彼等はというのだ。
「互いに戦う存在じゃなくなってきていますね」
「それを避ける為にです」
「銀月さん達が動かれてるんですよね」
「そうです、貴方達とお姉様を止めて」
「戦いを終わらせる為に」

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