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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第15話「私、とりあえず宿屋」
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…音繰りの魔法の弊害で、1日経つとそれから1日の間まともに喋れなくなってしまうのだ。

それが話している最中に訪れてしまったので、筋肉痛で動けなくなっても

何とか出来るものはいない、ということになってしまった。

フェーブルは身振り手振りで申し訳ない、ということをアピールしてベッドに潜り込む。

リックやグウェンはもう既に寝ているし、起こす可能性もあったから、

それはそれで仕方ないと思って自分もベッドに入った。

「…夜はなべて事もなし、とはいかない、ってことだよね。あのチェリーって子も…」

瞑目して、今を思う。昔のことはどうでもいい。不意に入手した様々な「前の世界」の

痕跡じゃないかと思われる情報。ジェイガンが言っていた「たまにいる転生者」の話。

転生者が他にいるならば、私の状況ももう少し的確にわかるかもしれない。

…勿論、そうするためには旅に出なければいけないし、今のまま宿に居たければ

する必要もないことは彼女にも十分わかっていた。

「…眠れないんだ?」

ストランディンの声が耳元でした。

「…何?」

「私もちょっと眠れなくて。まだ下の酒場はやってる時間だから、行ってみようよ」

ストランディンの茶色い瞳が間近でイダを射抜く。

「お酒は出してもらえないだろうけど、ホットミルクとかさ。いいと思うんだけどなあ」

それはたしかに魅力的だった。カヴェリにいてはあまり牛乳などを飲む機会もない。

「帰ってきた時聞いたんだけど、裏で牛鳥を飼ってて、新鮮なミルクが飲めるんだって」

…決定した。イダはベッドから即起きると、寝間着から着替えを始めた。

「ところで、牛鳥ってどんな生き物なんだっけ?」

ズボンを履きながらそう言うイダに、ストランディンはやっぱりちょっと呆れて

「文字通り、牛と鳥がひとつになったみたい生き物よ。

肉も乳も脂が少ないからさっぱりしてるの」

へえ、そうなんだ、と言いつつ服を着終えたイダはドアにそっと手をかける。

ドアにはフェーブルが「鍵(ロック)」の魔法がかけてある。

決められたキーワードを言うか、「鍵開(アンロック)」の魔法を使うか、

或いは無理やり力で壊す以外では開くことはなくなる。

キーワードはイダが決めていた。

「―――水野晴郎」

金曜ロードショーやシベリア超特急シリーズで有名な映画解説者の名前を言うと、

ドアは静かに開いてしまう。

「…ミズノハルオって何?」

「さあ?転生前に有名だった人、なんじゃないかと思うんだけど」

ストランディンの疑問をはぐらかせて外に出る。すると、ドアはなにもしないまま

静かに…カチリ、と鍵がかかる音だけを残して自
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