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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第15話「私、とりあえず宿屋」
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頂きます。

…報酬金の送付につきましては、盗賊や魔物の数が例年より多いため、責任が持てません。

申し訳ありませんがご了承ください」

チェリーはペコリと頭を下げて、玄関に立つリックたちに別れを告げた。

三つ編みにした髪が揺れ、香油の淡い香りが漂う。

「うん、さようならチェリーさん。またどこかで会いましょう」

香油の香りを胸に吸い込むと、イダはそう言って彼女の手を握った。

その行為に一瞬、感情の動きが見えたが、それはすぐに消える。

「はい。ありがとうございます」

その言葉を合図に5人は玄関をくぐって外に出た。雲はなく、いい日差しだ。

その陽射に目を細めながら、グウェンはストランディン達へ声をかけた。

「…お嬢しゃん、あの人に会ったことはあるかにゃ?」

彼女の言葉に、二人共首を横に振る。たまに屋敷には来ていたそうだが、

応対は父や執事が行なっていたとのことだった。

「私達が補佐役になったのが1年前。それからは来てはいなかったと思います。

直接会ったのは今日が初めてです」

リックはその言葉になるほど、と頷いて「やっぱ知ってたな。街の兵士ですら知ってんだ。

アイツが知らないわけがない。韜晦しやがったな」と悪態をついた。

「…ってことは…面倒な事にはならないといいんだけどなあ…」

「にゃー、それは無理かもしれないにゃあ。多分、イダはロックオンされたにゃ。

性的じゃない意味で」

イダのげんなりした声に、心なしか嬉しそうな顔でグウェンは言った。

「楽しそうね、グウェン」

「にゃあ、そりゃあ金持ちとは仲良くするべきだにゃあ。

半年に一回こっち来るなら、そん時にまたもらった、ってことで売ったげたらどうにゃ?」

手を腰の裏で組み、イダの顔を覗き込む少女の姿にイダはため息をつく。

「…それでばれないならいいけどね。とにかく、売るもんは売ったし、次は…」

「ああ、次はウヴァの街へ行く番だな。ここから4日ほど歩くと到着する。

まあ、今日はもう夕方に近いし、明日から向かうことにしよう」

イダとリックはそう言って、三人に向き直った。

「よし!まずは宿に戻るぞ!細かいことは後で考えよう。今日はもう戻って休むぞ」

リックの宣言に、三人とも頷いて、そして宿屋への道を歩き始めるのだった。



―――その夜。

イダは寝付けず、フェーブルが回復魔法を使えることを確認してから、宿の部屋で日課の

筋トレを始めようと思っていた。だが…

「あれから24時間そろそろ経ちます。

声が出せなければ魔法も使えません。申し訳ありませ…」

と言って、口をパクパクさせるフェーブルを見て、断念した。

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