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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第12話「私、保留にしてみる」
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思ったのであった。



翌日、朝食を終えると、5人は連れ立って中継点の中心近くにある大きな建物を

目指していた。その建物は珍しい三階建て石造り、最近になって製法が確立されたという

無色透明の窓ガラスが見える高級感あふれるものだった。

5人はそこに入ると、早速面会の受付を行う。相手は…そう、ずっと話に登っている、

ドライベールという男だ。今、この街に滞在していることを確認すると、

しばらく待って欲しいと受付に言われたので、そのまま待つことになった。

それから1刻ほど過ぎたころ、ようやく待ち人はその場に現れたのである。

「ようこそ。カザリ商会中継点支店へ。久しぶりですね、リック」

赤い蝶ネクタイをつけた中年の男が、そのでっぷりした体型に似合わない丁寧な言葉で

リックに挨拶すると、彼に親しげに抱きあい、そして握手を交わした。

「ああ、本当に久々だな。この冬は雪がひどくてお互い住処に行けなかったからな」

リックもまた親しげにそう言って笑った。

「ええ。しかし、どうしたのです、突然。それにお嬢さんまで…」

ニコやかな、どこか貼りつけたような笑顔の男は、その頭の少ない髪の毛を掻いて

イダに目を向ける。その目には、若干の戸惑いがあったのだがリック以外は気づかない。

「ど、どうもお久しぶりです…ドライベールさん」

ニコやかに対応しようとするイダだったが、どうにもうまくいかない。

よく見るとその顔は蒼白で、目の下のくまも一段と濃い。

「ええ、お久しぶりです、イダちゃん。大きくなりましたね」

ドライベールと呼ばれたその男は、そう言ってイダを抱きしめた。

すると、すぐに彼はリックに顔を向けて、表情を消した。

「…リック。ヴァレリーさんに叱られますよ。お酒を飲ませたでしょう。

後ろのお嬢さん二人も…ああ、ああ…」

笑顔を瞬時に消して、咎めるような目線をリックに向けるドライベール。

イダはその言葉に、後ろを見た。

後ろに控えているストランディンとフェーブルも同じように青い顔をしている。

元気なのはグウェンと…リックだけだ。

―――抜かった。正直言って、このようなことになろうとは思いませんでした。

イダはそう嘆息する。広場つくしという日本人は、

当然のように酒を嗜む趣味を持っていたのだが、それはあくまで生まれ変わる前の

広場つくしという人間の趣味である。

何を言いたいのかといえば、それはイダはこの世界に生まれ変わってから初めて

お酒を飲んだ、ということであろう。同じように男爵家では躾けられていたのだろう、

ストランディンたちと同様、彼女は宿酔の苦しみを享受するしかなかった


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