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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第11話「私、話し合ってみる」
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言葉を紡いだのはフェーブルだ。

「リックさんやグウェンさんが何も言わないということは、

わかっているのだと思うのですが…その力は、きっと危険です」

リックやグウェンの頷く姿を見て、自分の考えを確認しながら彼女は続ける。

「…その袋、何が入っているか、教えてはいただけないですか?」

リックの荷物…香辛料の入った一際大きな袋を指さして、

フェーブルの声が部屋に響き渡った。

「おう。見てみろ。驚くぞ」

リックは袋に手を伸ばし、その口を緩める。すると、部屋の中にかなり強烈な

スパイスの香りが漂った。

「…南方の香辛料…やはりそういうことですか」

フェーブルはため息を付き、「その力はとても危険です。貴女は暗殺されるかもしれない」

と真顔で恐ろしいことを言った。

「うぇ…マジで?」

クマを酷してイダはそう返すと、まあ当然か…とでも言わんばかりに天を仰いだ。

「南方の諸国はその政策で、香辛料の生産に制限をかけています。

特に胡椒は防腐効果が高く、各国で戦略物資とされています。ですから…」

それを無尽蔵に生み出せる彼女の力は危険ということになる。

リックは勿論、グウェン、そして今はここにいないヴァレリーも警戒していた、

恐るべきことではあった。だが、こうして政治にいずれ関わるであろう貴族の子女に

そう言われるのは、改めてショックでもあった。

「…どうすりゃいいかなあ…」と再び天を仰いでイダは周りに聞く。

わかってはいる。この力をできるだけ隠すこと。隠した上で肝心な時にだけ使うことだ。

それが彼女にとっても、彼女の家族や友人たちにも安全な選択肢である。

「…それに、そちらの異界…或いは、将来の物品を喚び出すバッグについても、

やはり利用しようというものはいるでしょう。絡繰の類ならば例え消えてしまうまでの

1日でも十分参考になるでしょう。それは新たな物を作る一助になるかもしれない。

それもやはり危険です。その生産に関われた者はいい。ですが、それ以外のものには…」

「…ええ。自分たちの生活を潰しかねない存在になってしまう」

イダは手で顔を覆い、ぐはー、と少女にはふさわしくない言葉を紡いでいた。

フェーブルはそこでふう、と溜息をつく。

「規格外の能力だと思います。双方とも。戦いには役に立つ場面も少ないでしょうが、

それでも様々な応用の効くとても強い力だと思います」

イダはその言葉に、咄嗟とはいえ冷蔵庫や畳を射出する戦い方が、

即席質量爆弾を放り投げるような戦い方がほぼノーリスクで出来た盗賊との戦いを

思い出し、確かにそうかもしれないと思う。

彼女の言葉は全て至極最もだ。
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