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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第10話「私、初めての実戦」
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グのことをこの男爵の娘たちに聞かれないで済む、と考えていたのである。

実に姑息だが。

(大成功〜〜!このまま夜まで乗り切って、朝になったらバイバーイでバッグの話は

もう聞かれなくて済むよね!!)

…実に浅薄な考えである。

「…あのさ、あのバッグのことなんだけど…」

そんな彼女の浅薄で姑息な考えは、

意を決して言葉を紡いだストランディンの前にあえなく崩れ去る。

「う…やっぱ、聞いちゃう?」

イダがバツの悪そうな表情を浮かべて、ストランディンに向き直る。

目の下のクマが、どこか色を深くしているような気がするほど、

聞かれたくないオーラを全身から放ち酷いジト目で彼女を睨む。

ストランディンはその目に何も臆することなく、

「ここじゃマズイし、宿に行ってから聞くから」と述べてその場を引いてくれたのは

彼女にとって幸いだったのか、そうでないのか…

感情を隠す必要のなくなったイダは、ごまかすように「ぐやああああああ!!!」と

割合どんな人でも引くような叫びを上げて、ストランディンの腕を引っ張った。

「どうしても聞きたいなら私と一緒に屋台巡りだっこらあああああああ!!!」

「ちょっ…やめてやめて!?袖が伸びる!伸びちゃうから!」

叫んでストランディンを無理やり引っ張り、そして流れるように屋台へと向かうイダに

グウェンもリックも、フェーブルも苦笑せざるをえなかった。

「やれやれ。やっぱり猫かぶりか。おーい!あんまりお嬢さんに迷惑かけるなよお!」

リックが楽しげに大声で声をかけ、フェーブルはフェーブルで

「ストラはあの程度で迷惑とは思いませんよ」とニコやかに返していた。

その言葉を聞いていたのかなんなのか、ストランディンは「ありえなああああい!!」と

ちょっぴり悲痛に叫んでいた。

それを同じく微笑ましく眺めて、グウェンは…盗賊らしく周囲を見回してから、

イダの方に歩いていく。

「しゃあないにゃあ…リックしゃん、先に宿とっちゃってて。ここで合流しましょうにゃ」

「わかった。気をつけていけよ」

グウェンはそう言って歩き出す。リックはそんな彼女に承諾と注意を促すと、

さて、自分も…とばかりに宿を探し始める。

「…どこにしますか?」

ニコニコと笑いながら、フェーブルはリックに声をかけ、そして持った杖を器用に回す。

「酒のうまいところがいいね。明日は行くところもあるし、英気を養うぞ」

彼はそう答えて、イダたちの消えていった先をじっと見つめていた。

屋台の食べ物を両手に抱え、グウェンとストランディンに呆れられながら

この場所に来るのはこのあと、おおよそ3時間といったところ
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