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ゲルググSEED DESTINY
第九十八話 名前の意味
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二機の機体が変則的な軌道を繰り返し、互いに撃ち合い、落とそうとする。いや、より正確に見るのであれば片方はコックピット以外を狙い落とそうとし、もう片方は本気で落とす気が無いのか牽制にしかならないような射撃を行っていた。

『なんで、なんだってこんなことを続ける!』

「止めるよりも続ける方が楽だからさ。その上で死なないように生きているだけだよ」

彼、クラウ・ハーケンは人生における己の歩みを止めた男だ。ご都合主義のような運命に導かれ、本来ありえることのない、また多くの者が信じることのない転生などという出来事を体験させられ、戦死や病死、老衰を含めて都合十五回の死、そして十六回もの転生を繰り返した。

「他人がどうとか、関係ない人間が如何とかそんなの考えるのは飽き飽きしてるんだ。地上やこの宇宙のどこかで何人の人間が、どんな風に生きて、どう死んでいるかなんて考えたことがあるのかい?それを理解したことは?答えは否だ。人類が神様にでもならない限り、そんな他人の事をずっと気に掛ける事なんて出来はしないだろうさ」

移動を繰り返しながら戦闘が続いていく。クラウは残骸となった艦やMSといったデブリすらも利用し、一見逃げるように移動をしていた。核融合炉の話を聞いた以上、キラは追わざる得ない。メサイアとの距離は徐々に遠ざかり、キラ自身相手の術中に嵌っていることを理解しても、それをすぐに解決する手段は見つからなかった。

『だからと言って世界中の人を恐怖に陥れるなんて、そんなことを認めるわけにはいかない!それに、僕たちは皆を救う事だって――――!』

「出来る、とでも……それこそありえない。人の枠を超えた(スーパー)人類(コーディネーター)はそこまで傲慢不遜でいらっしゃると?誰もかれも救うなんていう事は、結局、誰も救わないというのと一緒さ」

極論だ――――そう反論するキラ。ま、当然だな……とクラウは心の中で反応を返す。彼は己の持論が全面的に正しいなどと思っているわけではない。
しかしながら、彼にとっては人生とそうあるものであった。経験談、などと年寄染みたことを言うつもりはない。だが、経験したことのない事実をまるでそうであるかのように語るよりは余程マシだと思っている。

「人は人として生きようと思うなら見知らぬ他人などよりも、目に見える身内を気に掛ける。
簡単な話だろう?命には価値がある。優先順位も存在する。誰だってそうして生きてきた。君もそうだろう!味方であるアスハと敵であったアスラン。君は選んだ、アスランを討つと。それだけである種、人は人足り得る事となる!」

『違う!人はそんなちっぽけなものなんかじゃない!人は誰だって他者を救える!確かに、一人で皆を救うなんてことは出来ないかもしれない。でも、救った人が、また別の誰かを救う!そ
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