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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第9話「私、お嬢さんに出会う」
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したってんだ?」と

フェーブルに向き直る。そう。霊薬エリクサーを始め、マナの病を治す方法は、

金さえ出せば複数あるのだ。なぜ一般人に比べれば金も地位もある貴族が、庶民が頼る

一番安い方法を唯一治せる、などと言うのか…と思うのは当然のことだろう。

フェーブルは逡巡したが、わずかに表情を曇らせ答えた。

「…先年の豪雪のためです。ウヴァの街と帝都方面を繋ぐ街道は帝命で封鎖されたままで、

薬を手に入れようとすれば南からの迂回路を使い、第二の都市ヒルギガースへ

行かなければ行けません。往復には早馬を使っても2月以上掛かる場所です。

…もう間に合わないんです。うう…」

フェーブルは涙を流し、訴える。このままでは父が…と。

「そうなの…お気の毒様…元気出して。私達も冒険者の中継点までは行くの。

一緒に行きましょう?」

イダはそう言ってフェーブルの手を握る。

「はい…ありがとうございます」

そう言って、フェーブルはここまでで初めて笑った。

その笑みを見ると、イダも少し安心して…安心したら、少し気になることが出来た。

「セリを手に入れた、っていうけど…ちょっと見せてもらってもいいかな?」

「…いいけど?なんで?」

「いいから。セリの実物って、これ以前に見たことある?」

イダはそう言って、ストランディンに促した。

「…ない。ないよ。乾燥させた奴は見たことあるけど」

気になることがある。それは、彼女たちがセリの実物を見た事がなければあり得ること。

勿論、この世界にそれがあるかはわからない。だが、致命的なことになりかねない。

イダはストランディンからセリだ、と言って渡された植物の匂いを嗅いだ。

「…これ、セリじゃない。ドクゼリよ。食べたら死ぬわ。いえ、それだけじゃない。

汁を塗っただけで死ぬこともあるものよ」

「え…?」

ドクゼリ。春の七草としてこの世界でも、つくしの世界でも有名なセリには

そういう名前のよく似た毒草が存在する。

判別方法は匂いと山葵のような地下茎の有無。

本物は匂いが独特で、地下茎は存在しない。だが、ドクゼリは無臭で地下茎がある。

茎だけだったので判別しづらかったが、匂いが違っていたのでイダにはわかった。

つくしだった頃は料理が下手だった彼女が出来る数少ない料理の一つ七草粥のことを

忘れていなかったのが幸いした。

因みにドクゼリはドクウツギやトリカブトと並ぶ日本に自生する毒草の中では

トップクラスの毒性を持つ危険植物である。

中には山葵と間違えて地下茎を食べてしまい死亡するという事故も起きている。

その致死量は1kg辺り50mg。60kgの人間な
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