暁 〜小説投稿サイト〜
東方攻勢録
第十話
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
まだ二日ほどしかたってないのに……今の話だったらもう何日か経ってるだろ?」


確かに俊司が目覚めてからここに到着するまでの日数は、死後の裁判に関する時間を考えてもせいぜい三日ほどだ。しかし、紫達が紅魔館への進軍を決定するまでの間を考えると、おそらく一週間は経っているだろう。
一同は訳が分からず首をかしげる中、当の本人である映姫が口を開いた。


「当たり前です。あなたが目覚めるまで四日が経ってますから」


映姫がそう言った瞬間、一同から驚きの声が漏れた。


「なっなんでですか!?」

「当たり前です。地獄での裁判も急に予定を変えるなんて出来ませんからね。その間は目覚めないよう小町に管理させていました」

「じゃあ……船で俺の死体を見た時、死後硬直が見られなかったのは……」

「あたいが管理してた間にとけちゃったからね」


小町は笑いながらそう言った。

だがよくよく考えれば、その時間のずれがあったからこそこの結果が生まれたのだろう。もし俊司がもう少し目覚めるのが早かったなら、太陽の畑では手錠の真実を知らず、メディスンを助けることは出来なかったし、旧都での戦闘は援軍が来て長引いていたかもしれないし、紫達の救出に間に合わなかったかもしれない。そう考えれば全部結果オーライなんだというわけだ。

その後今度こそ満場一致で解散となり、一同はそれぞれ自室や庭など思い思いの場所に散っていった。俊司も久々の自室に帰ろうと、重い腰を上げて歩き始める。


「……なあ! 俊司くん……」


そんな彼を後方から引きとめたのは、白髪のロングヘアーをしたハクタクの妖怪上白沢慧音だった。


「はい?」

「あのさ……さっき言っていたクルトというのは……君の復讐相手なんだよな?」

「そうですが……」

「……下の名前は?」


そう言った慧音は、なぜか顔を青ざめていた。


「クルトが名前ですね。名字が……バーン……クルト・バーンですね」

「クルト……バーン……そ、そうか。ありがとう……」


慧音はひきつった笑顔を見せながら礼を言うと、そのまま振り返って自室に帰り始める。そんな彼女の手は、なぜか知らないがプルプルと震えていた。


「……なぜ?」


そんな呟きと共に。










解散後、俊司は自室でまったりと過ごしていた。内部は以外にも最後に見たころと変わっておらず、きちんと掃除もされていた。変わっている場所と言えば……鞄に入っていた例の手紙がなくなっていたぐらいだろうか。


「……あかん」


手紙の内容を思い出したのか、俊司は少し顔を赤く染めながらじっと鞄を見ていた。

そんな時だった。


「俊
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ