第八章 『魔帝』
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テにとってどうでも良かった。むしろ癪に障ると言ってもいい。
「悪いが俺は会いたくもなかったし、会うつもりもなかったんだがな。あの時言っただろ? 俺の息子によろしくってな。なのにたった四年で出てきちまうとは思ってなかったぜ」
「貴様にとってはたった四年であろうが、我には悠久の時に感じられたぞ」
ムンドゥスが封印されていたのは魔界と人間界の狭間だ。そこには時の流れが存在していない、いわば世界から隔絶した空白地帯である。そのため四年という歳月は、あくまでも人間界での時間の経過に過ぎず、ムンドゥスは、本当に永遠と思えるほどの間、世界の狭間という監獄に閉じ込められているような感覚だった。
「それにこうして貴様を前に出来たことを祝い、ささやかながら贈り物をくれてやったというのに」
その声は得意気で、ダンテを嘲笑する様に軽々しい。
「なんのことだ? ここに出迎えに来てくれたヤツ等のことだとしたら、期待はずれだったぜ。もっとイきのいいのを、あと百ダースは持ってくるんだな」
ダンテは余裕を見せびらかし、ひけらかし、煽る様にムンドゥスへ言葉を返す。もっとも、本当に百ダースが着たところで嬉々として戦うだろうが。
その挑発に乗る、などということをムンドゥスはしなかった。それどころかムンドゥスからはまだ笑いが漏れ出している。
「貴様を迎えた者共もそうだが……人間界だ」
ムンドゥスからもたらされた言葉を、ネギ達は始めは理解できなかった。だが一同は、それの意味をすぐに解する。既にムンドゥスの魔手が、人間界へ伸びているということに。
「人間界へも我が兵を送ったのだ。我の悲願、人間界を統べる為にな」
ネギ達は未だ知らなかったのだ。魔法世界にいたエヴァンジェリン達は、ザジによって知ることとなったが、人間界へも悪魔が進出してきたのである。
「人間界ってうちらの世界のことやんな? それって大変な事になってるとちゃうん!?」
木乃香の言うとおりだ。公には認められていない悪魔達が、二千年以上の沈黙を破り再び侵攻してくるのである。パニック、混乱などという言葉ではすまないだろう。
ネギは「人間界には数多くの魔法使いがいるから大丈夫」と言い聞かせたものの、自身でも納得はしていなかった。むしろ、ネギの方が事の深刻さを顕著に感じ取っている。各国の正規軍も、悪魔に対抗する為の訓練は受けてはいないし、想定もしていない。悪魔に対抗できる人間は、圧倒的に少数なのだ。
ネギ達の様子をムンドゥスは愉快に眺めていた。それこそ、蟻の列に水滴を垂らして、あわめふためく様子を楽しむかのように。
「それともう一つの贈り物は喜んでもらえたか? 兄との再会は感動的であっただろう?」
「アイツを作りやがったのは、やっぱりテメェだった
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