第八章 『魔帝』
[5/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
れている。だが、階層を繋ぐ道を通ることで別の階層へ行くことができる。それが『魔鏡』という道だ。
しかし彼らが今いる『静謐なる鎮魂の冥府』という階層は、魔界の中でも格別に広大である。事実、遙か上空からここへ落ちてくる時に、ネギ達は地平線まで続く血の池を見ている。そんな中から『魔鏡』を探さなければならないわけだ。
しかしダンテはかつてこの地に訪れた事があるという。渡りに船とはこのことか、とネギ達は喜んだ。もっとも「適当に悪魔の相手をして、適当に歩いてたら魔鏡へ行き当たった」というダンテの言葉を聞いて、それは儚くもぬか喜びに終わった。それはこの広い空間から魔鏡を地道に探すと言っているようなものだ。
しかし他に良い手もないのが事実だ。そのためネギ達は広大な『静謐なる鎮魂の冥府』を歩き回り、湧いて出る悪魔達を相手にしていたというわけだ。
「さっきの叩き付けたアレはなんていうやつなんだ?」
「あれは『雷の斧』という上位古代語魔法で――」
ダンテとネギは悪魔と戦う合間に、魔法や悪魔についてなどよく話していた。ダンテにとって人間が体系的に習得し行使する魔法は見慣れないものであり、ネギも悪魔について知らないことが殆どだ。補完し合うには丁度良い様だ。
話し合うダンテとネギの背後を、刹那は難しい顔を浮かべて見ていた。
「楓、可笑しいとは思わないか?」
隣にいた楓へ、刹那は声をひそめて話しかけた。話し掛けられた楓は、すでに気付いていた事について答えた。
「こちらへ来てからネギ坊主、術式兵装を使っておらぬな」
楓の言うとおり、ネギは魔界へ来てから一度も術式兵装を使用していない。刹那もそれには気が付いていた。だが刹那が言いたいのは別の事のようだ。
「それもそうなんだが、なにか……先生の気が変わった気がしないか?」
刹那のその指摘に、直ぐには応えなかった。ネギの後ろ姿を何かを探るように見ている。そして少し間を置き、刹那へ目線を向けた。
「ほんの微かに……でござるな。何かと言われたら分からないが、違和感はあるでござる」
結論は出なかった。しかし、言い表せないが確かに二人はネギに違和感を覚えていた。
そんな二人の会話をつゆとも知らず、ネギはダンテへと問いかけていた。
「そういえば、ダンテさんはどうして便利屋を?」
どうやら悪魔を狩る事が生業のダンテが、なぜ便利屋をしているのか、と話が流れていったようだ。
ダンテは少し話そうかどうか迷っていた。というのもダンテが便利屋を営んでいる理由は、彼の生い立ちや幼少期の事件、家庭問題が深く関わっているからだ。それをほぼ初対面のネギ達へ話すことは、ダンテといえど気が引けたからだ。それに話したとしても、そう面白い話でもないだろう
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ