第八章 『魔帝』
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の姿がある。
「!」
リヴァイアサンの胴体に僅かな光の筋が走った。すると次の瞬間、胴体が真っ二つに裂かれた。二つに別れた巨体はおびただしい量の血をまき散らしながら地面へ落下していく。滝のように降り注ぐ血は地表に張った氷を赤く染め、二つに別れた亡骸は落下点にいた悪魔を下敷きにする。まるで地震かと思うような揺れと地響きだ。
「むぅ……あれは」
そんな中、近右衛門が声を上げた。その目線の先は、先程までリヴァイアサンがいたところだ。
そこに何かがいた。状況から察するに、恐らくそれがリヴァイアサンを両断したのだろう。
「まさか、君のいうトモダチとはアレのことじゃないだろうな?」
その者が放つ雰囲気は、龍宮が今まで対峙してきた悪魔の中でも抜きん出て強大だった。そのことに恐怖はない。だが冗談の一つでも言わないと、気圧されてしまうと思った。
そのため、おおよその答えが分かっていたとしても龍宮はザジに問いかけたのだが、ザジは龍宮の問いには答えなかった。ただじっと、それを見つめていた。隻眼の戦士を。
※
「Be gone!」
足で踏みつけられ、鉛玉をしこたま撃ち込まれたヘル=スロースがダンテに蹴りとばされた。無残にも体中に銃創が刻まれたヘル=スロースは、丁度地中から飛び出したアビスへ叩き付けられる。
「――虚空の雷、薙ぎ払え!」
そこへ斧を振り降ろしたかのような雷が叩き付けられた。ネギが唱えた魔法『雷の斧』は二体へ直撃し、ヘル=スロースを灰塵へと変える。アビスはそれだけでは仕留めきれなかったようだ。しかし雷を叩き付けられたことで痺れたのか、俊敏なアビスに一瞬の隙ができていた。
すかさずネギは『断罪の剣』を発動し、瞬動の勢いのままアビスの胴体を真っ二つに切り裂いた。強制的に気体へ相転移させられたアビスの亡骸には目もくれず、ネギは『魔法の射手』を放つ。
アビスは絶命する間際、その手に持つ鎌の刃を刹那へ向けて振り放っていたのだ。魔力によって作られたその鎌は、刹那の背後へ迫っている。背後から近付いてくる凶刃に、当然のように刹那は反応していた。刹那はそれを打ち落とそうと太刀を振る。
しかし刹那の太刀は、アビスの鎌を捉えることはなかった。なぜなら収束された魔法の矢が、刹那へ迫っていたアビスの鎌を先に撃ち落としたからだ。
「あ、ありがとうございます。ネギ先生」
ネギへ礼を述べながら、刹那は愛刀を鞘へ戻す。辺りには悪魔の気配は既になかった。
ネギ達とダンテは、延々と続いているように思える真っ赤な大地を、あるものを探して彷徨っていた。そのあるものとは『魔鏡』と呼ばれるものだ。
そもそも魔界は、様々な領域が階層の様に積み重なった世界であり、基本的にその階層同士は隔た
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