第八章 『魔帝』
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瞬の攻防を終えた龍宮は、口ではそういうものの、まだまだ余裕のようだ。
「ははは、生徒に注意されるとはね。それじゃあ働くとしようか」
タカミチはそう言うと、ゲーデルのもとを離れて悪魔の群れへと向かっていく。凄まじい威力と範囲の居合い拳が悪魔達を蹴散らしていく。それにゲーデルも続こうとするが、チラッと龍宮へ視線を向ける。龍宮は今も銃と体術を駆使して悪魔を葬っている。ゲーデルは龍宮にも、何か知らないか? と聞こうか少し思索していた。
だがそれは中断させられることになる。なぜなら龍宮が先に断りを入れてきたからだ。
「すまないが魔界の事なら、私も人並み以上のことは知らない。大した力にはなれないと思うよ」
龍宮も、ダンテと同じく半人半魔のハーフである。そのため自身の出自に深く関わっている魔界や魔族に対して関心があり、それなりに知識は持っていた。もっとも、魔界の歴史に長けているわけではない。なぜなら龍宮が持つ情報の殆どは、調べれば出てくるものなのだ。
「そうですか。わざわざお教え下さってありがとうございます」
感謝の意をゲーデルは伝える。もっともそれは、礼儀としての形式的なものだ。ゲーデルはさっさと刀を翻し、悪魔を斬り伏せていく。
遠ざかるゲーデルの背を、龍宮はじっと見つめていた。何を考えているのか、何を訴えているのかは分からない。龍宮の瞳に感情らしい感情を見ることは出来なかった。
「如何なさいましたか? 怖い顔になっていますよ?」
龍宮の背後から声がかけられた。振り返ると、そこにはザジが微笑みを浮かべて立っていた。取り繕うように、すぐに龍宮は表情を戻す。クラスメイトに向けているいつもの顔に。
「表情豊かな方ではないだけで、怖い顔をしているつもりはないぞ? 誰かさんと一緒でな」
その誰かさんへ冷やかすような目線を送るが、当の本人は相変わらず微笑を浮かべたままだ。
「もっとも、表情とは裏腹に戦闘は激烈そのものだな。姉妹揃って」
ザジの姉との戦い。そしてリヴァイアサンと戦っていたザジを思い返して、龍宮は言葉を続けた。また、スライドが後退したままのデザートイーグルから空のマガジンを排出し、転移魔法によって取りだした新しいマガジンを挿入する。
「貴女こそ、まさかお姉様と対等に渡り合えるとは。流石です」
「フフ、私も久しぶりに全力で戦ったよ」
ザジの姉との戦いは、龍宮にとって余程良いものだったのだろう。思い返すだけでも闘争心が高揚し、享楽が入り交じったような笑みが自然と込み上げていた。決してクラスメイトには見せないであろう顔だ。
軽く引かれたスライドはもとの位置へ戻り、沸き上がる闘争心を表すように、弾丸がチェンバーへ装填された。
「それはそうと、アレはどうするつもり
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