暁 〜小説投稿サイト〜
赤城と烈風
防衛の要
14試局地戦闘機『雷電』、試製重戦『鍾馗』
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
逆に忌憚の無い意見も開陳しています。


 設計者達が弟一線部隊から得た情報、加工されていない生の声は示唆に富む物でした。
 身体を張り収集した膨大な経験値を充分に吟味、検討し設計に反映する筈でしたが。

 発動機の馬力が機体の性能に直結する現実、鉄則は遺憾ともし難く開発は難航。
 2千馬力級の発動機が必要と計算され、担当者は頭を抱えました。

 爆撃機用に開発され最大の出力を誇る大直径の発動機、三菱A10火星も公称1400馬力。
 14気筒の三菱A10火星を18気筒化、1900馬力の発動機を開発する計画が開始されました。



 社内開発番号A19の試作品は1939年8月に完成、1940年6月には軍の審査運転が完了。
 発動機直径はA10火星の1340ミリから1370ミリ、重量は725〜860kgから1260kgへ増大。

 史実の誉及びA20は1気筒当り50馬力、無理に無理を重ねた数値と思われますが。
 1気筒当り36馬力/リットルで公称1730馬力、離昇出力1900馬力と堅実な数値です。

 A19木星は大型で容積に余裕があり、A10火星に匹敵する稼働率が期待出来ます。
 試作品は審査を無事終了し川崎、愛知の発動機製造部門に於いても製造が決定。


 高い工作精度を要求される液冷発動機製造で鍛えられた川崎、愛知が製造した試作品。
 他社生産のA19は性能審査試験に於いて本家、三菱純正品を上回る高い信頼性を実証。

 三菱製は『木星』A型、他社生産は『誉』と呼称される事になりました。
 『誉』の呼称は三菱社内にも川崎と愛知の発動機製造部門、同業他社の尽力を称え定着。

 18気筒発動機の共同開発と同様、川西14試局地戦闘機の設計も陸軍との協力が実現。
 土井武夫技師を中心とする川崎の設計陣が、垣根を越えて協力する事になりました。


 爆撃機の迎撃を主任務とする為、メッサーシュミットMe109を参考に上昇力を優先。
 垂直面の機動性を強調した邀撃機となり、国産メッサーとも通称されています。

 熱心な意見交換と火を噴く討論検討が重ねられ、試作機が誕生するに至りますが。
 武装は意見の一致を見ず紆余曲折の末、海軍の推奨する20ミリ機銃を断念。

 装甲炸裂弾60発装弾のエリコン機銃を4挺、主翼に装備する予定でしたが。
 弾道の直進性を懸念する陸軍担当者の要望が優先され、妥協案が成立しています。



 前述の通り艦戦、軽戦は弾道性能の良好な12.7ミリ及び13.2ミリ機銃を装備。
 主翼に2又は4挺を搭載していますが、6挺への増設を検討。

 翼の強度が不足する為、4挺を超える増設は不可能と判断されました。
 機首に2挺を追加装備する案も出ますが、前方視界の悪
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ