第24話「異形の力」
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魔法と気が存在するこの世界で、それらの力は特殊な力ではない。大事なことは気付くか否か、それだけだ。使う資質がない人間など例外的な存在だけ。
そして、ここにその例外の人間が一人。
別の世界からやってきた男、大和猛。
彼にはそれらの資質が一切備わっていない。魔法の元素を感じる能力もなければ「気」に気付く素質もない。
才能の有無ではない、タケルがいた世界に存在しない力。根源的に習得不可能な能力。
子供の頃なら誰もが憧れる心が躍るその力。タケルも同様に憧れ続けたその奇跡の力が。
目の前では当たり前のように繰り広げられていた。
茶々丸に弾き飛ばされ、無防備になった瞬間に茶々ゼロの追撃。人間である以上、不可避なはずの一撃を、周囲に巻き起こった風が防壁の役割を果たし、追撃を一秒ほど押しとどめることに成功。
その隙を逃さずにネギは後退し、彼女達の追撃を辛くも避けることに成功する。
だが。
次の瞬間に飛んできた雷に体を打たれ、なすすべなく崩れ落ちた。
体をピクピクと震わせ、しびれて動けないネギに、先ほど雷を放ったエヴァは容赦ない言葉を放つ。
「どうした、これでは昨日と変わらんではないか」
「……し、しびれました〜」
ネギの情けない声にため息を一つ。
「じゃあ回復したら次はタケル、茶々丸と実戦訓練を2時間だ」
「は、はい、師匠(マスター)」
正式にエヴァンジェリンの弟子になれたネギはみっちりと修行を叩きこまれている最中だ。
彼等は今、エヴァの別荘に来ていた。
別荘と言っても単なる別荘ではない。この場所は特殊な空間で、外よりも魔力が充溢している。その上、ここの一日は現実世界での一時間でしかないという超優れた空間だったりする。
唯一の欠点はここに入ったら丸一日ここで過ごさなければならないということくらいだろうが、所詮、現実で言う一時間でしかない。そんなものは些細なことだろう。
とにかくつまり、ネギは一日教師としての仕事をした後に、丸一日分の修行をしているということになる。
相当なハードスケジュールだ。
「まだやるのかよ」
小さく呟いているカモに、タケルも内心で同意する。
これでぶっ続けで4時間も経過している。昨日も同じようなメニューだったが、やはりそれだけの時間を実戦訓練し続けるというのはさすがに心配になってくる。
――まぁ、心配するだけ無駄、か。
エヴァンジェリンに師匠としての経験があるのか、それとも実はお人よし傾向にある性格からかは分からないが、なかなかに熱心で丁寧な指導を行っている。
練習でネギの体が壊れることはないだろう。
「う」
エヴァの体がフラと揺れ
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